「イズヲクダサイ…」
「家がカフェーをやってましたので、入り口の所に畳敷きのショーウインドウがあったんです。女の人がねボロをまとって、髪の毛は抜け落ちて、顔も手も体中が火傷だらけで『スイヤセン』って…。唇が火傷のためにあわないんですよね『スイヤセン』って言って、その辺にごろっと寝ころんだんですよ。そして『イズヲクダサイ』というんです。『イズってなんだろう?』と思ったんですが、水のことだった。唇が火傷のためにあわせられないんです」

「土瓶に水をついで、口に注いであげて…。そしたら「アイヤターター…」ありがとうございますって言ってんだなと思って、何回かやったんです。その人は次行った時には亡くなっていた…。もう次々そういう人が来るんですね」