「絶望しないで」自分と向き合う映画制作

映画『星より静かに』は、ドキュメンタリーパートと、内浦純一さんがADHDの特性を持つ夫を演じ、それを支える妻との日常を描いたドラマパートで構成されています。

君塚監督は精神科医や当事者に耳を傾け、ADHDの実態を丁寧に描き出しました。

映画は君塚監督にとって、自分自身と向き合う貴重な時間となりました。

映画「星より静かに」 君塚匠監督
「箱庭療法じゃないけど、(映画を)作ったことで自分の心の葛藤は少し取れたのかなと。自分が一生懸命に努力して、魅力的なADHDになればいいのかな」

自分と向き合いながら作り上げた一本の映画は、同じように悩みを抱える人たちへ
希望の声を静かに届けています。

映画「星より静かに」 君塚匠監督
「僕も子どもの頃からADHDがあり、もっと言えば、10代の頃はもうパニック障害だと不安神経症、躁うつ病、それで、最終的にADHDと診断された。それでも映画を撮ったりとか、社会的なことができるので絶望しないで欲しい」

<取材後記 舟本真理キャスター>
「どうして自分だけ、うまくいかないんだろう」
君塚監督の言葉を聞いたとき、きっと同じ思いを抱えたことのある人が、どこかにいるのではないかと思いました。

55歳でADHDと診断され、それまで“自分の努力が足りないからだ”と思い込んできた。その苦しさや、ようやく気づけたときの静かな安堵が、映画には丁寧に映し出されています。

見えにくい困りごとは、誰の中にもあるかもしれません。
「わからない」を怖がらず、「わかろうとすること」を大切にしたい。
そんな気持ちになれる、静かであたたかな取材でした。