「むしろよかった」長年の謎が解けた安堵
診断を受けた時の気持ちについて君塚監督は「むしろその、よかったかなと思って。ずっと分からなかったから」と振り返ります。長年の生きづらさの理由が明らかになった安堵感がありました。

しかし、同時に「双極性障害もあって、パニック障害もあって、ADHDもあってっていうと、もう本当病気だけって感じなんで、それに対するなんかこう思うところはありましたね」と複雑な心境も吐露しています。
専門家は、大人のADHDが見過ごされやすい現状を指摘します。
さくらまちハートクリニック 荒井秀樹院長
「大人はほとんど外見がわからない。子供だとちょっと落ち着きがなかったり、お喋りが多かったりすることで分かることが多いですが、大人の場合は長年生きている中で、なるべく嫌な思いしないように対処方法を見つけている。余計見えにくくなっている。でも本人の心の中では、いつも苦しくて辛い。何かどうも人とうまく付き合えないとか。見えないが故に、余計にわかってもらいにくい」
病院での診断と薬の処方によって症状は落ち着き、仕事も続けられるようになりました。しかし、ADHDであることを打ち明けた途端、仕事を外されたり、差別的な扱いを受けたりしたこともありました。

さらに追い打ちをかけたのが、信頼していた仲間からの誤送信のメールです。
裏では君塚監督のことを「クレイジー」と呼んでいました。
映画「星より静かに」 君塚匠監督
「1年半かけて一緒にやった仕事の間ずっと、表では君塚さんと普通に言っているのに、裏ではずっとクレイジーなんて言い方していて、信用してた人がって・・・相当インパクトがあってショックで」
見えにくい苦しみ、生きづらさ、そして偏見。
誰かが気づくきっかけになれば…。そんな思いから、自身の体験を映画にすることを決意しました。
