「さいはてのキャバレー」は解体へ 全部を残すのはできないとしても…

1月から建物の保存に向けて市などに要望を行ってきた出村さんたちですが、飯田港は津波や液状化で岸壁が大きく破壊され、港の内側まで水が入り込む状態が続いていて、市は早期復旧のため、さいはてのキャバレーを解体する方針を維持。

来週にも建物を取り壊すことを決めました。

珠洲市芸術文化創造室・山口茂樹室長「さまざまな意見があるのは承知している。現在も載積の積出港、漁港でもある。市民の安心・安全とともにそれを進めることで漁業のなりわいの再建にもつながる」

壁の一部だけでも保存してほしいと訴えてきた出村さんは、市の決定に悔しさをにじませます。

出村正幸さん「それはわかる。珠洲市民の1人としてわかる。ただ、解体しなければ復旧・復興は遅れるのか別問題ではないか。それは復旧、復興の遅れとはまったく関係ないこと。一部だけでも、一部だけでもと伝わらなかったんだろうか」

地域防災学が専門の金沢大学の青木賢人准教授は、さいはてのキャバレーが地元にとってシンボル性の高い施設だったとしたうえで、解体に一定の理解を示しました。

金沢大学・青木賢人准教授「飯田港という港は地域にとってあるいは能登全体にとっても拠点となる港なので、耐震護岸にしていくという整備計画がありその必要性は非常に高い。建物が残っていると港湾の整備ができない状況になるので全部が残せなかったということについては避けられない部分がある」

一方で青木准教授は、建物が残せなかったとしても、保全の方法はさまざまだとしています。

金沢大学・青木賢人准教授「イルカの壁画のところがコンクリート・ブロックの破片になってしまったとしても、立体のオブジェみたいなものに細工をしてもらう。それが新しい港の入り口に設置される形でも過去の記憶の引き金になると思うので、発想を柔軟にしていろいろな工夫、アイデア出しをしてほしい」