◆「私の周りから社会を変えていけたら」と高校生
パレードで歩いていたら、横に「高校生かな?」と思う人がいたんです。聞いたら、福工大城東高校のダンス部の生徒でした。ダンス部は、会場のステージで踊っていたんです。顧問の先生をとても尊敬していて「先生から聞いて、部として参加することにしたんです」と話してくれました。ステージに出た後はパレードの沿道警備ボランティアとして一緒に歩いていました。うれしくなって、さらに話を聞いてみました。

松尾瑞葵さん:大人の中に混じって話を聞くのって、本当に貴重だなって思いました。もうすぐ大人になるから、なんかやっぱ大人の意見を聞いて、そうだなと思ったら自分にもいっぱい取り入れていきたいなって思うし。
神戸:元々、自分の中に偏見がありましたか?
松尾さん:私は、なかったですね。別に否定はしないけどその問題を解決するために何か行動をしたことがなくて。でも先生からお話をいただいて、「自分もこういう啓発活動をしたい!」という気持ちから参加させていただきました。そういう(性的マイノリティの)方たちが「否定される世の中の方がおかしいんじゃないか」って、今日来てやっぱり改めて感じました。私の周りから、「そういう活動してる人がいるよ」と考え方を変える、自分で柔軟に変えていくのはすごい大事なことだと思うので。あとは私の周りの小さいことから少しずつ変えて、そこから大きく社会が変わっていけたらなって思って。
福工大城東高校の松尾瑞葵さん(17歳)は「自分の周りから変えて、社会が変わっていったらいいな」と話してくれました。ラジオを聴いている方には、同性愛と聞くと一歩引いちゃう方もいるかなと思うんです。だけど、若い世代の間では本当に抵抗がなくなっています。1人1人が伸びやかに暮らしていく社会の方がいいと思っている人が増えています。
◆広がるパートナーシップ宣誓制度
福岡市役所も会場でパートナーシップ宣誓制度のパンフレットを配っていました。今は同性同士の結婚は認められていませんが、パートナーだと宣誓して行政が認定することによって、その証明を持って行くと、例えば民間のサービスで、携帯電話の家族割とかマイレージの共有、銀行でのペアローンとか、そういったサービスが受けられるように、民間もどんどん変わり始めています。結婚制度が変わっていない以上、行政の方でも何らかの対応をしたいという動きが始まっているということです。
「同性婚を認めると、ただでさえ少ない子供がもっと産まれなくなる」と言う方がまだいらっしゃるんですけど、全体からしたらマイノリティなので、人口とは全く関係ありません。選択的夫婦別姓も同性婚も、認めても誰も困らない。僕らマジョリティは何も関係ないわけです。
変えたくない人はそのままでよくて「現状で困っている人が幸せに生きられるように、変えましょう」というだけなので、他の人が出てきて「同性婚はダメだ」「選択的夫婦別姓もダメ」と言うのはどうなのかなと思います。多くの人が伸びやかに生きられるように、とオリコさんや松尾瑞葵さんが話していました。そんな社会に早くなったらいいという気持ちを込めて、これから毎年、レインボーフラッグを振りに行こうと思っています。
神戸金史(かんべかねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKB毎日放送に転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材して、ラジオ『SCRATCH 差別と平成』(放送文化基金賞最優秀賞)やテレビ『イントレランスの時代』(JNNネットワーク大賞)などのドキュメンタリーを制作した。














