長野県茅野市で去年9月、妹を包丁で刺して殺害したとされる男の裁判員裁判が始まりました。弁護側は動機について「妹が父親に暴力をふるうことなどに耐え切れなくなった」と主張。父親も証言台に立ちました。

地裁松本支部で行われた裁判員裁判の初公判。殺人の罪に問われた伊藤雅史被告50歳は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

事件は去年9月、茅野市塚原の住宅で起きました。午前4時ごろ雅史被告の父親が「長男が妹を刃物で刺した」と警察に通報。2階で当時42歳の妹が倒れているのが見つかりました。

起訴状などによりますと、兄で当時会社員だった雅史被告は寝ていた妹の首などを包丁で複数回刺して殺害したとされています。

16日の冒頭陳述で検察側は「滑り止めのゴムが付いた軍手をはめて犯行に及んだ」などと計画性を主張。

一方、弁護側は、「妹が父親に日ごろから金の無心をしたり暴力をふるったりするなど、粗暴な言動に耐え切れなくなった」と情状酌量を求めました。

争点は量刑で、16日の裁判では父親も証言台に立ち、雅史被告について「まじめな性格だった。妹を殺すまでに追い込んでしまったかもしれない。妹にもかわいそうな結果になってしまった」と述べました。

裁判は、あす結審し24日に判決が言い渡されます。