所得税がかかる基準となる「年収103万円の壁」いま結局どうなってるの?まちの声を聞いてみると…

街頭インタビュー「知らない」「あんまり聞かない」「知らないですね」「分からないです」「130万円まで上がった?」「階段式になったという…」

去年の衆院選の争点となった年収の壁103万円の引き上げ。いくらに引き上げられたのか。手取りはどう変わるのか。専門家の見方も合わせてまとめました。

住吉光アナウンサー(以下:【住】)長崎の暮らし経済ウイークリーオピニオン。平家達史論説委員とお伝えします。

平家達史論説委員(以下:【平】)今回のテーマは「年収103万円の壁結局どうなった?」です。改めて「103万円との壁」とは、所得税の支払い義務が発生するボーダーラインのことです。

■去年の衆院選で争点に

【住】去年秋の衆院選で国民民主党が年収の壁を178万円に引き上げることを掲げ、その後いくらにするかという議論が続いていましたが…結局いくらになったんでしょうか。

【平】年収の壁は2025年3月に税制改正関連法案が成立したことにより160万円に引き上げられました。物価高対策や103万円を超えないように働く「働き控え」の解消が主な目的です。

■“壁”引き上げも仕組みは複雑に

【平】改正前までは、給与を得て働く人は「基礎控除」の48万円と「給与所得控除」の55万円を合わせた103万円を年収で超えると所得税が生じていました。

それが改正後は「基礎控除」が最大95万円に、「給与所得控除」が65万円となり年収の壁が最大160万円となりました。

【住】「最大」とは何を意味するのでしょうか。

【平】これは給与収入によって基礎控除が段階的に変わるからなんです。例えば、

(1)年収200万円以下⇒基礎控除95万円で「壁」は160万円に
(2)年収475万円以下⇒基礎控除88万円で「壁」は153万円と段階的に減少

200万円以下を除く基礎控除の上乗せ額には2年間の限定措置も含まれています。

また、19歳以上23歳未満の子を扶養している場合の「特定扶養控除」も引き上げられ「もう一つの103万円の壁」と言われていた学生アルバイトなどの年収要件は150万円に引き上げられました。150万円を超えた後も段階的に控除の金額が減る仕組みになっています。

【住】これまでは年収103万円以下であれば所得税がかからないとシンプルだった分、複雑ですね。

■“壁”引き上げのメリットは

【住】今回の改正で私たちにはどれくらいのメリットがあるんでしょうか?

【平】今回の「103万円の壁」の引き上げのメリットについて整理すると、以下の3つが指摘されています。

(1)働く時間を増やせる
(2)それによって所得を増やせる可能性がある
(3)税負担が軽減する

与党の試算では、独身の1人暮らしで社会保険に加入している場合、年収200万円で年間2万4000円の減税。年収300~600万円で2万円の減税などとなっています。

また、共働きの夫婦でどちらも社会保険に加入している場合、夫婦それぞれ年収200万円、計400万円の場合は年間で計4万7,000円の減税。夫婦それぞれ年収400万円、計800万円の場合は計4万円の減税などとなっています。