「消費税を食料品に限って下げるという方策、賛同いたしかねる」
石破総理:
消費税の重要性は、私は野田代表が誰よりもよく御存じだと思っております。そうであるからこそ、私はずっと総理大臣をお務めのときから野田代表には敬意を払ってまいりました。今でも政治家として、人として尊敬する1人であります。その上で申し上げますが、この社会保障の大切な財源である消費税。これを本当に今使っていいのだろうか、下げていいのだろうか、そうすると社会保障はどうなるんだということを我々は考えていかねばならない。消費税導入のときからそうでした。好き嫌いで言えば、好きな人なんて誰もいない。しかしそのときから高齢化が急速に進む、人口が減るということが予測をされておったとこであります。この大切な消費税というもの、そんなに軽々しく扱っていいと私は思いません。それが第1です。もう一つはじゃあ仮に、食糧費について半額、半分にしたといたしましょう。それに一体どれぐらいの時間がかかるのか。今苦しんでおられる方々に、本当にそれは効くのかということでございます。前回この場で、システムを改修するのに、1年かかるというふうに申し上げましたらば、一晩でできるいうそういう反論がいっぱいありました。私どもとしてシステム会社に聞いてみました。一体幾らかかるのか、短いとこで半年でした。長ければ1年かかる。それはぜひ聞いてみてください。それ新聞報道にもあるとおりでございます。ちなみに申し上げれば朝日新聞、そこに1年かかるということの報道がございました。さあ1年後で本当にいいんだろうか。前回消費税率を変えたときに、幾らのお金がかかったかといえば、それは補助金だけでも、システム改修の補助金だけでも700億かかっております。時間がかかる、今すぐ対応出来ない、お金もかかります。そして消費税の持っておる特質でございますが、逆進性というのもございますけれど、同じように下げる。所得が少ない方も所得が多い方も、下げるということになりますと一体何が起こるんだろうかということを考えましたときに、結果として、お金持ちのほうが減税額が多くなるということが当然起こります。本当にお金持ちを優遇をして、時間がかかってコストがかかって、そのような食料品にかぎって消費税を下げるということをして、社会保障の財源をどうするんだということを考えたときに、私どもとして、物価を下げなければならないという危機感は共有しますが、それを消費税を下げる食料品に限って下げるという方策には、私としては賛同いたしかねます。
野田代表:
食料品ゼロ税率にするというのは、臨時時限的な措置であるということです。今、御指摘のあったとおり、理想形は給付つき税額控除だと思っています。逆進性対策としても。中低所得者にとっては、むしろ減税よりも恩恵があるのは、この給付つき税額控除だと思っていますので、その制度設計も急いでいきたいと思ってます。この給付つき税額控除については一つの解であると。前回の党首討論で、それをお話をされました。そのときに大事なのは、所得の把握であると課題も提示をされました。そのとおりだと思います。ですから我々は、給付付税額控除のプロジェクトチーム、階猛さんを中心にチームをつくって、これ急いで制度設計したいと思います。所得の把握が肝でございますので、これについても海江田万里さん中心にワーキングチームをつくりました。きちっと給付つき税額控除の制度設計をしていきたいと思います。それまでの間、今申し上げたように消費税の0%、食料品に限っては、これ臨時時限的にやることが、まさに今、食費の高騰で困っている皆様を助ける、私は唯一の道だと考えています。
じゃ、それにかわる提案があるんだったら、お聞かせをいただきたいと思いますけども、それまでの間もですね、食卓応援給付金という形で、給付つき税額控除の理念に沿った形で、一律、お1人2万円ということは2人の世帯だったら4万円なんですね。調べてみると、1年間で2人以上の世帯で米を食べる消費額ってのは3万8000円だそうですから、ちょうどお1人2万円ということは、2人世帯だったら4万円になるわけですので、嘱託応援給付金という位置づけに値するだろうと思います。すなわち、目指してるのは給付付き税額控除、その間臨時時限的な措置として考えてるのが食料品消費税0%。もっと早くやらなければいけないことについては、食卓応援給付金と3段構えなんです。選挙のためじゃないんです。3段構えです。自民党公明党は何か給付金をまた数万円単位、数兆円単位ですか?ということを公約に掲げるそうですけどね。それこそですね、それこそ、今は何もやらないけども、制度設計もよく分からないけども、秋の補正ではそうした給付金でばらまきをするというやり方じゃありませんか。選挙前だけじゃなくてね。具体的に本当に物価高対策をきちっとどうやっていくのかということを御説明を聞きたいというふうに思います。
石破総理:
すいません。給付税額控除につきましては、私もずっと研究をいたしておるところであります。代表おっしゃいますように、どうやってストックを把握するかということが1番重要で、その点についてはまた、幾らでも議論もさせていただきたいと思ってますし、一つの理想形であることを私は否定をいたしません。その上で申し上げますが、私の理解が悪かったらごめんなさい、どういう順番でやるんですかっていうことですね。ですから食卓応援金が1番最初にあって、それから消費税の引下げですか。それで、給付付き税額控除ということですか。そういう順番ということで、消費税の減税は、先ほど申し上げましたように、時間はかかります。コストもかかります。社会保障の財源どうするのだということに答えがありません。それでいてやるのかということで、それを前提にしながらやるということであれば、消費税の減税は1年ぐらいかかりますよということをお認めをいただくべきだというふうに私は思っております。先ほど申し上げましたように、働く世代向けに1人から2万円の所得税減税というのをやっております。そしてまた、給付金も世帯あたり3万円、お子様1人当たり2万円。これを加算するということをやってきているわけで、その効果は着実にあらわれつつあるし、これからもあらわれるということでございます。そのことは決して等閑視していいものだと私は思いません。野田代表ともあろう方が、政府は何もやってないというふうにおっしゃるのは、それは事実誤認ではないかと私は思っております。政府といたしまして、今御指摘になりました、給付金について、現在検討しておるという事実はございません。これから先、与党でいろんな御議論を経て、それは政府ときちんと協議をしながら、何が1番国民の皆さんのためになるか。特に、1番困ってる方にどうすれば、きちんとした手当てが行き届くかということを中心に考えてまいりたいと考えております。物価高には全力で取り組みますと同時に、いかにして物価高を上回る賃金上昇ということを私どもは訴えてまいりました。春闘の結果は御存じのとおりでございます。33年ぶりの賃上げ、それを上回る勢いで賃上げがなされているのは、多くの方の御努力によるものでございます。労働組合の方々にも、本当に大変な御尽力をいただきました。これから先も、いかにして賃金を上げていくかということにも同時に我々は取り組んでまいりたいと思います。賃上げということは、物価高対策に最も効果があることであって、いかにして生産性を上げ、コストを下げ、労働者一人一人の手取りを増やすかということ、賃上げを目指して、私どもは物価高を克服いたしてまいります。