トリカブトとフグがもたらした「邪悪な奇跡」
神谷は、自宅にたくさんの医学書とミステリー小説を持っていました。その独自研究の中でめぐらした計画が「トリカブト(アコニチン)」と「フグ毒(テトロドトキシン)」のカクテルでした。
アコニチンとテトロドトキシンは毒の方向性が真逆であるため、同時に摂取させることで互いの毒性が拮抗し、作用を遅らせることができるのです。

妻の死亡当時、行政解剖を担当していた琉球大学の大野曜吉助教授(当時)は、保管していた妻の血液、心臓を再検査しました。5年越しの証拠の活用です。
するとトリカブト毒以外に、フグ毒(テトロドトキシン)が検出されたのです。大野助教授は、これを法廷で証言、神谷のアリバイは崩れることになったのです。
