神谷には「鉄壁のアリバイ」が

しかし、解せないことがあります。
トリカブト毒(アコニチン)には即効性があり、摂取して30分以内に死にいたるというのが普通です。ところが、妻が苦しみ始めたのが神谷と別れてから1時間40分後。症状が出るまで20分程度あるとして、タイムラグが80分あります。
そのとき、神谷はすでに沖縄本島、那覇にいました。神谷にはいわば「鉄壁のアリバイ」があるのです。

使われた薬用カプセルが胃で溶ける時間も勘案されました。

テレビを観た人から通報が

神谷自身もこのアリバイを強硬に主張し、ワイドショーは「毒物カプセルが胃で溶けにくくするために」など時間差を埋める実験に明け暮れましたが、うまくいきませんでした。
ところが、テレビを見た漁業者から、とある通報がありました。
「神谷が大学の研究者を称して、クサフグを大量に買い付けていた」というのです。

毒物は「トリカブト毒」に加えて「フグ毒」? その意味が後に分かってきます。