土は人工的に作れるのか?

失われつつある貴重な土。人工的に作ることはできるのでしょうか? 「基本的に土は人工的に作れないと思ってください」と藤井さんと語ります。「植物と微生物が100年、1000年かけて1センチの土を作るのです。説教臭いようですが、守る方が早いのは間違いないので大切に使いましょう」

ホームセンターでは「培養土」を見かけますが、どうなのでしょうか。「『培養土』はすでにある腐葉土と鹿沼土、赤玉土をミックスしているだけで、人間が新たに土を作ったわけではない」と藤井さんは説明します。「土ではないものから新しく土を生み出すことは、今のところできないのです」と話します。

地球環境の悪化を受け、月や火星を居住可能にする「テラフォーミング」という技術に注目が集まっています。

NASAやJAXAが月や火星での農業を目指して研究を進めています。宇宙環境に耐え抜くコケ植物は見つかっていますが、「次は死んだコケを腐植に変えてくれる微生物がいないと土にはならない」と藤井さんは指摘します。

地球の土は大さじ1杯分に1万種類もの細菌がいて、それらが協力して初めて土壌として機能しているそうです。藤井さんはインドネシアの荒れ地を緑化する研究で、何種類か微生物の最近で土が作れそうだということまで明らかにしたそうですが、「コケから土を作り、植物を育てるというステップの難しさを考えると、基本的にはテラフォーミングよりも地球の土を大切にすることが簡単です」と語ります。