コメ作りが盛んな大分市の毛井地区では70人を超える地権者が、いま一斉に農地の用途変更を求めています。背景には担い手不足や資材の高騰がありました。
(毛井地区の未来を考える会・加藤和芳会長)「毛井の真ん中に田んぼが広がっている。誰も管理をしない。それが一番怖い」
大分市毛井地区で長年コメを栽培する加藤和芳さん(74)。この日は田植えを目前に控えトラクターで荒起こしに汗を流していました。地区ではいまある問題を抱えているといいます。
(加藤和芳会長)「農機具は高い、肥料は高い、農薬は高いで経済的に負担がかかってくるので、利益はあがらない、きつい、じゃあもうやめようかとなる」

高齢化や資材の高騰により担い手が減少し、地域の農業を維持できないと訴えます。
毛井地区は1960年代に実施された国の基盤整備を経て、将来にわたって農地を守る制度「農業振興地域」に指定。住宅や店舗など農業と関係のない土地への転用が禁じられています。
(加藤和芳会長)「農業をする人にしか売れない状況なので、田んぼいらんわと言われたらどうしようもない」
自治会長を務める加藤さんは住民たちと話し合いを重ね、農業振興地域から除外してもらおうと任意組合を設立。70人以上いる地権者の総意を得て4月には市役所を訪れ、およそ19ヘクタール甲子園球場5個分の広さの農地の用途変更を求めて要望書を提出しました。

ただ、毛井地区について、市は現状法的に除外できる要件を満たしておらず難しいとの見解を示しています。
(大分市農政課・長谷川郁さん)「毛井地区は基盤整備事業を昔しているところから農地法でいうと守る必要性が高い甲種農地になる。農地利用でぜひ検討いただきたい」
(加藤和芳会長)「日本の農業を守るのもわかるが、毛井地区としては農業を続けていく余力がない。自由に農地を活用できる方向で検討していただきたい」
持続可能な農業を目指して始まった制度「農業振興地域」。農業や農村のあり方が大きく変化する中、地域存続への足かせとなる課題が浮上していいます。