日常的に目にする道路標識の中には、その本当の意味を誤解しているものも少なくありません。富山県上市町に設置された県内唯一の特殊な標識から、よく見かけるのに意外と知られていない標識の真の意味まで、交通安全の要となる道路標識の世界を探ります。

右回りが基本!県内唯一の「環状交差点」

上市町の道路には、一見リサイクルマークのような珍しい標識が設置されています。この標識は県内で唯一この場所にしかないもので「環状交差点」を示しています。

県警本部交通規制課の安達洋平課長補佐は「車はこの交差点を進行する場合は、右回り、時計回りで進行することになります」と説明しています。

環状交差点とは信号機のないドーナツ型の交差点のことです。

この形状には大きな利点があります。車のスピードが上がりづらく、車同士が交差する箇所が少ないため事故の減少につながるのです。実際、上市町のこの交差点では2019年の開通以来、人身事故は一件も発生していません。

また、信号機がないため渋滞が発生しづらいという特徴もあります。さらに災害時の停電でも交差点としての機能を失わないという防災面での利点も持ち合わせています。

環状交差点の通行には特有のルールがあります。安達課長補佐によると「交差点ではすでに環状交差点内に入っている車が優先となります。交差点に入ろうとする車はすでに交差点に車がいれば、止まっていただく、しっかりと周りを確認していただいて、進行していただくというところを心がけていただければ」とのことです。