鹿児島県内では雨による土砂崩れで道路が寸断され、集落が孤立するケースが毎年のように発生しています。シリーズでお伝えしている雨期防災、今回は孤立に備える奄美大島の集落です。

奄美大島南部の瀬戸内町です。中心部の古仁屋から県道を西に向かうと、道路脇に土嚢が積み上げられたり、現在も工事が続いている場所があります。

瀬戸内町ではおととし6月の大雨で、住宅19棟が床上浸水。土砂崩れにより県道11か所が通行止めとなり、海沿いに点在する西古見、管鈍、花天集落が4日間、孤立状態になりました。

(記者)「奄美大島の最も西に位置する西古見集落。停電の長期化など災害にみまわれることも多いですが、住民たちは住み続けたいとはなします」

瀬戸内町の最も西にある西古見集落です。中心部の古仁屋から車で1時間ほどの場所に23世帯26人が暮らしています。

指定避難所の一つ、防災コミュニティーセンター。発電機が常備されています。去年6月の大雨では、住民3人が一時避難しました。

(西古見集落 池畑金晴区長)「(道路が通れなくなる可能性は)ありますね。大雨が降ったりしたら。道路がみんな急な斜面だから。台風の前とか、前もって2~3日分、4~5日分、食料を準備してある」

去年オープンした、町営のキャンプ場「西古見GATE」も指定避難所の一つです。以前は小学校でしたが、町が観光活性化や防災の観点から、およそ2億円かけ整備しました。

屋上にソーラーパネルが設置されていて、停電しても最大1日は電気が使えます。

男女別の浴場もあり、宿泊棟や管理棟、テントを使えば集落に住む26人全員の避難が可能で、災害時は施設で販売しているカップラーメンや水を無料で提供します。

管理人の中西美樹さんは、2020年に東京から移住してきました。

(西古見GATE管理人 中西美樹さん)「最悪、土砂とかで通れなくなるときはあると。去年とかも考えながら暮らしていた。備品とかがちゃんとそろっていて、みなさんの受け皿的な施設にできたら」

人口およそ8000人の瀬戸内町は、災害時に備え、250人が3日間生活できる量の水や食料を備蓄していて、災害時に必要な集落へ配る計画です。

地元の漁協と協定を結び、船で支援物資を運んでいますが、去年からドローンも活用しています。

(瀬戸内町 土井一馬防災専門監)「瀬戸内町の試みとして、大型ドローンを使っての物資輸送、これも実施可能」

いざという時に備え、地域の備えが進んでいます。