時代とともに変化する言葉

神戸:僕は妻のことを「〇〇さん」と名前で呼んでいます。

田畑:僕も名前、でも呼び捨てですね。お互い、呼び捨てで。

橋本:私は呼び捨てでもいいですけど、「お前」が嫌です。「あなた」とかはいいんですけど。私、「お前センサー」があるんです。センサーがピピピッて鳴りますね。パートナーと関係なく、きょうだいにふざけて言われた時に「もう1回言ってみ?」と言って、「言えないよね?私は『お前』は嫌だよ」と伝えます。

神戸:言葉って、変わりますよね。「お前」、江戸時代ではそんなに悪い言葉じゃないですよね。

田畑:「御前」ですからね。

神戸:「貴様」もそうですよね。「尊いあなた様」という意味で使っていたのが、だんだんぞんざいな風になって。

田畑:九州じゃもう今「きさん」ですからね。「きさん、こらぁ!」

神戸:ははは、「きっさーん、こるるぁぁぁ!」と巻き舌でね。言い方は時代で変わるんですけど、そういう意味で言うと「亭主」「旦那」「女房」「かみさん」なんていう言葉はそろそろ役割を終えてもいいのかもな、と。でも、フォーマルなところでは「主人」「奥様」「家内」がまだまだ使いやすい。

田畑:相手に対して、自分のパートナーを引き立てるわけにもいかないから、謙譲する意味で「家内」という言い方を使うこともありますよね。

神戸:僕はこの近年、意図的に「連れ合い」という言葉を使ってきたんです。「連れ合いがね……」とか、「あなたのお連れ合いは……」。結構いい言葉だと思っていたんですけど、この番組のディレクター(28歳)は、「連れ合い」という言葉を聞いたことがなくて、僕が言っているのを聞いて「辞書で調べた」と言っていました。

田畑:なるほど、やっぱり令和では通用しなくなってくる面も。

神戸:連れ合いも厳しいのか……では何がいいのか

橋本:最近は、「妻」と「夫」が広がりつつあるという実感はありますね。

神戸:それが一番プレーンな言い方ですよね。フォーマルで使ってもいいし、日常的にも「うちの夫がね」という会話はおかしくない。でも相手のことを言う時はあんまり使わないですね。「お宅の夫さあ、……」ってちょっと言いにくい。

田畑:あくまで「うちの夫」「うちの妻」と言う場合ですね。

神戸:あなたのところとなると「お宅の旦那さあ」と言ってしまうかもしれなくて。

田畑:「あなたのパートナーは、……」って、広がっているのかなあ?

橋本:聞く機会は増えてますね。