今おすすめしたい言葉とは?
神戸:自分が「うちのパートナーがね」という形でいうことは、まだちょっと少ないと思うんですね。いずれこなれるのかもしれないですけどね。全然駄目だなと思ったのは、「配偶者」です。「配偶者でいいんじゃないか」と言っているフェミニストがいたのですが、「おたくの配偶者は」「うちの配偶者が」……ちょっと無理だな、と。今、一番僕が「いいな」と思っているのは、「連れ合い」から変わったんです。「うちの彼女」。
田畑:「うちの彼女」!?
神戸:妻のことを誰かに言う時に「うちの彼女はね……」っていう言い方はどうだろう、と思っているんです。
田畑:へえ!
神戸:こう言ったら、「それ、ない」と否定されることがけっこう多いんだけど、僕はありかなと思っているのですよ。でも、「うちの彼氏」と妻が言ってくれるか?絶対言わないです。
田畑・橋本:ははは!
神戸:僕は「〇〇さん」と名前で呼んでいますけど、「うちの彼女」からは「お父さん」と言われています。よく、「お母さん」と呼ぶと「あなたのお母さんじゃありませんからね」というやりとりがありますが、同じよう「子供のお父さん」という家庭内の役割だからジェンダーの問題があるんです。「あら?子供を介してでしかない関係になっている?」と思うと、なかなか微妙な。
田畑:距離感みたいなものも反映されるんですかね。
神戸:1対1、対等で呼び合う方が、僕はいいと思うんです。彼女が僕を「お父さん」と呼ぶのを否定はしませんけどね。家庭でこんな会話をしてみたら、面白くありませんか?
◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。学生時代は日本史学を専攻(社会思想史、ファシズム史など)。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。東京社会部勤務を経てRKBに転職。やまゆり園事件やヘイトスピーチを題材にしたドキュメンタリー映画『リリアンの揺りかご』(2024年)は各種サブスクで視聴可能。先月末放送のラジオドキュメンタリー『家族になろう~「子どもの村福岡」の暮らし~』は、ポッドキャストで公開中。