プロ野球界に多大な影響を与え、89歳で亡くなった巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏の訃報を受け、元巨人の岡崎郁氏が恩師への思いを語った。

驚きの自宅訪問…私たちにとって“神様”

大分市出身の岡崎郁氏は、大分商業高校時代の1979年、春夏連続で甲子園出場を果たす。高校卒業後は法政大学への進学を希望していたが、プロ野球ドラフト会議で巨人から3位指名を受ける。

すでに大学進学の意思を固めていたが、岡崎氏に思いがけない転機が訪れる。それは当時の巨人一軍監督の長嶋茂雄氏が直々に大分の実家を訪れたことだった。

岡崎氏自宅 1979年12月 

「いや、もうとにかく長嶋さんが自宅に来たんです。学校の授業中だったんですが、教頭に『今すぐ家に帰れ』と言われて、長嶋さんが来ているとは知らされていませんでした」

何も知らされぬまま帰宅した岡崎氏が応接間に行くと、そこには野球少年の憧れる長嶋茂雄がいた。

「今までの人生の中でも一番の驚きでした。単純に言えば『びっくり』という感じでした。生身の長嶋さんが、本当に私のために来てくれたという意味では、二重の驚きというか、言葉では言い表せないほどの感覚でした」

「長嶋さんの姿を目の前に見た瞬間に、18歳の子供ながら『ああ、これは巨人軍に入団するんだろうな』ということを直感しました」

新大分球場 1995年3月

岡崎氏にとって長嶋氏はまさに“神様”のような存在だった。

「私たちの世代は、巨人のV9時代に育ってきて、長嶋さん、そして王さんに憧れて野球を始めたという経緯があります。ONというのは野球界にとっては特別な存在です。本日のプロ野球の繁栄は多くの先輩方の功績ですが、長嶋さんの影響力が一番大きかったのではないかと思います。私たちにとっては神様ですね」