賃上げ先取りの価格転嫁の可能性も
また、具体的な証拠があるわけではないのですが、第2の波の現在は、これまでとは違って、今後の賃上げ分を先取りして価格転嫁する動きが出てきているのではないかと、私は推測しています。第1の波の際には、まだ賃上げの動きは顕在化しておらず、各企業は、まず実際のコスト上昇を転嫁し、渋々、値上げに踏み切りました。
しかし、この3年で風景は変わり、インフレが定着、実際に行われた賃上げ分を価格転嫁する動きが広がりました。しかし、極度の人手不足もあって、今や経営者の間では、今後も毎年賃上げを続けざるを得ないという認識が広がってきています。もちろん、トランプ関税による先行き不安もあるので、来年も過去2年と同様の高い賃上げができるかどうかはわかりませんが、それでも、かつての「ベアゼロ」が許される時代には戻れないというのがコンセンサスになりつつあるのではないでしょうか。
仮に今後の賃上げ分を先取りした価格転嫁が、行われ始めてるのであれば、「物価」と「賃金」の「循環」は、新たな局面に入ったと言えるかもしれません。