愛媛伝統の麦みそをめぐり、愛媛県が突然、生産者に対し
味噌という表示をやめるよう指導しました。しかしその後、一転して指導を保留。
味噌という商品表示が景品表示法違反にあたるとして表示を改めるよう求めていた愛媛県が、見解を軌道修正しました。
■地域特産の麦みそに突然の“法律違反” 老舗店は「納得できない」
麦みそを製造する井伊商店
愛媛県宇和島市内のみそ店、井伊商店。創業から64年、地域特産の
麦みそを作ってきました。しかし突然、その伝統を脅かす事態が…
井伊商店3代目 井伊友博さん
「これもらったときは違うんやないんかなって思いました」
10月に受け取ったのは、愛媛県からの指導文書です。
愛媛県からの指導文書
愛媛県からの文書
「味噌」「麦みそ」と表示することは食品表示基準に違反している。実際のものよりも優良であると示すものであり景品表示法に違反している。
はだか麦と塩を使って製造
井伊商店では昔ながらの原料にこだわり、はだか麦と塩を使って
麦みそを製造、販売してきました。しかし国が定めている食品表示基準では、
味噌について、
大豆を原料に使うものと定義されています。この基準は以前から設けられていましたが、これまで違反だと指摘されたことはありませんでした。
愛媛県が改善報告書を提出するよう指導
しかし、今年7月に行われた保健所の検査で違反が見つかったとして、県が突然、表示をやめるよう求めてきたのです。さらに、11月11日までに
改善報告書を提出するよう指導しました。
井伊商店3代目 井伊友博さん
「納得できないですよ」
“麦みそ”表示が続けられるよう県に要望
井伊商店は、
麦みその表示が続けられるよう県から同じ指導を受けた2つの事業者と一緒に、先週、県に要望書を提出しました。しかし…
井伊商店3代目 井伊友博さん
「『裁量の余地はありません』と言われて僕らは本当にどうしようかとなって…」
■“法律違反”が一転… 「パッケージは県の裁量で味噌と表示できる可能性がある」
愛媛県が一転 改善報告書提出を「保留」に
しかし先週土曜日、事態は急転。県は、提出を求めていた改善報告書を保留にすると伝えました。
関係者によりますと、国の基準を変えない限り、品名や原材料を記す枠に
麦みそと表示するのは難しいとみられますが、パッケージについては県の裁量で
味噌と表示できる可能性があることがわかりました。
パッケージには県の裁量で“味噌”の表示ができる可能性
井伊商店3代目 井伊友博さん
「『なにか創業時からの麦と塩で作っているのが証明できるものがあれば見せてほしい』と言われているが、うちも山内商店さんもなくて伊予醸造さんも戦争の時に焼けてしまったらしくて残っていなかった」
井伊商店では、大豆を使わない
麦みそが地域で伝統的に作られていたことを証明する歴史資料などを探すことにしています。
井伊商店3代目 井伊友博さん
「すべて地元の麦、愛媛県の麦とここの水で作るというのがこっちの味だと思っているので、今のままの味を伝統の味をずっと守っていきたいという思いです」
井伊商店 井伊友博さん