気象台は27日、霧島連山・新燃岳の噴火警戒レベルを3から、2の「火口周辺規制」に引き下げました。立ち入りの規制範囲も縮小されましたが、専門家は「安全宣言ではない」と話します。

気象台は27日午前11時、新燃岳について「火山性地震が減少し、火山活動が低下傾向にある」として、噴火警戒レベルを3から、「火口周辺規制」の2に引き下げました。レベル2への引き下げは今年3月以来、およそ2か月ぶりです。

レベル引き下げを受けて、立ち入りの規制範囲も火口周辺3キロから2キロに縮小されました。

27日、高千穂峰の登山口の駐車場は早速、車でいっぱいになり、登山を楽しむ人の姿が見られました。

(鹿児島市から)「レベルが2に下がったので鹿ケ原(ミヤマキリシマの名所)に行ってきた。もうお花畑」

(東京から)「最高。ツツジがきれいだから」

新燃岳は2018年を最後に噴火していません。しかし、火山地質学が専門の鹿児島大学・井村隆介准教授は、レベル引き下げは「安全宣言」ではないと強調します。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)「山体の膨張は去年10月くらいから続いている。(火山性)地震が減ったのも一時的かもしれない。レベル2への引き下げは、少しは安心材料だが、“安全宣言”ではない」

井村准教授は「初夏の美しい霧島を楽しんでほしい」としながらも、登山中に異変を感じたら、迷わず山をおりてほしいと話します。

(井村隆介准教授)「山の上にいる時に(火山)情報が出ることもある。避難の行動を起こす方向にスイッチを入れられるようにしてほしい」

気象台は、火口から概ね2キロの範囲で弾道を描いて飛ぶ大きな噴石に、1キロの範囲で火砕流に警戒を呼びかけています。