「当たり前の生活ができなくなりそう」氷河期世代の沈痛な叫び
安倍総理(2007年)
「最後の1人にいたるまで、皆さまの年金の記録をチェックして」

2007年、年金記録の約5000万件が誰のものか分からなくなり、支給漏れの可能性が指摘された、いわゆる「消えた年金問題」が浮上します。この影響などで、第1次安倍政権は参院選で大敗。2年後の政権交代へと繋がりました。
こうした結果、「年金が争点になった選挙は必ず負ける」といわれるようになりました。今回、基礎年金の給付水準を将来にわたり確保する重要性を認めつつも、石破総理は…

石破茂 総理大臣(20日)
「厚生年金の積立金を使うことについて、流用といった意見もあり、今回の法案に具体的な仕組みを規定しないこととした」
選挙を前に、反発も予想される「基礎年金の底上げ」を法案から削除。

しかし、この見送りで大きな影響を受ける世代がいます。1990年代から2000年代始めに就職活動を行った、いわゆる「就職氷河期世代」です。
約2000万人のいるこの世代は、当時の就職難から正社員として就職できず、厚生年金に加入できなかった人が多くいます。

福岡県で暮らす、54歳の男性も就職氷河期世代の一人。現在、非正規で週4日ほど働き、手取りは月に10万円ほどです。
大学卒業後、1度は正社員で就職したものの、親の介護のため退職。その後は、非正規で職を転々とするほかなく、厚生年金の加入期間は長くありません。

就職氷河期世代の男性(54)
「今の支給予定金額では到底生活できないし、(将来に)不安がある」
この男性の場合、将来もらえる年金は国民年金と厚生年金、あわせて約9万5000円。この世代の平均額を、4万6000円ほど下回ります。
今回、政府が提出した法案から「基礎年金の底上げ」削除のニュースを聞いて、将来への不安はより一層増したといいます。

男性
「当たり前の生活ができなくなりそうです。就職氷河期世代の貧困層に対する支援を国にしていただきたい」