精通でズボン汚れたら…子どもの悩みを解決したのは?
全国各地で「性教育」について講演している大原さん。講演では月経の仕組みや、月経用品などについて子どもたちに伝えることが多い。
その中で、求められる「性教育」の本質について考えさせられるできごとがあった。2023年、長野県の小学校での講演だ。

大原万里亜さん:
「『生理はどこから出てくるの?』と子どもたちに聞いてみたんです。答える子はいないかな…と思っていたんですけど、中学年の1人の女の子が『「穴」を見たことがある!』と自信満々に答えてくれた。それって、卑しいことでは全くないんです。『自分の体に興味を持つ』というのは大事なことなのであって。その子の発言を聞いてヤジを飛ばすような子どももいませんでした。むしろ、『じゃあ自分も見てみようかな』なんて、みんなが自分の体に興味関心を持ってくれたんです」
「すると、中学年の男の子が『保健で習った″精通″がこわい…。もし学校で起きたらどうなるの?ズボンとか汚れてしまうの?』と怯えながらみんなの前で質問したんです。すると、上級生の男の子が『朝に起こるから大丈夫、こわくないよ』と先輩らしく教えて。いまはネットで何でも調べられる時代ですが、調べてたどり着いた答えが本当に安全なのか、本当に合っているのか、子どもが自分で判断するのって難しい。それを同じ地域の子ども同士が疑問を共有する場ができた。″性”だけではない、自分の身体や命のことを考える『生教育』の場になったんです」
自分の心を大切に
性行為の事だけではない、性を含む命について考える「生教育」こそが、必要だと考える大原さん。その原点は自分の心と向き合うことだ。
大原万里亜さん:
「赤ちゃんが『おむつ気持ち悪い~!』と泣いた時、すぐに取り替えて、心地よくしてあげる。そこには、親の温もりや信頼、自分の気持ちが満たされることへの喜びや安心感がある。その大切さを一人一人が忘れないことが『生教育』だと思っています。人から求められたことに応えるのではなく、自分の気持ち、感情を大事にしてほしい。忙しい現代こそ、自分の感情を大切に。それが生きることに繋がる。だから私は『生教育』を伝えていきたいです」
性教育の根底にある「生教育」。
自分の気持ちと向き合い、何が心地いいかを知ることが、パートナーも大切にする「性教育」にもつながっていく。
女性の生理が、体のコンディションや気持ちの変化を教えてくれるように、体の変化に興味を持ち、自分を知ることの大切さを、大原さんは伝えたいと願っている。