「寝たきりで、結婚もしない…生理なんてなきゃいいのに」
ー寝たきりの娘を前に、ある母親がつぶやいた言葉が胸に刺さった。
生理は子どもを産むためだけにあるのか?「性教育」ではなく「生教育」を掲げる長崎女子短期大学の大原万里亜さんは、命や身体の“意味”を問い、子どもたちに伝え続けている。
「生きるって何?」誰もが抱える“性”の悩みに寄り添いながら、「生きる力を育む教育」とはー。
「生理なんてなきゃいい」寝たきりの娘を前に

布なぷきんを製造・販売している株式会社りぼんの代表で、長崎女子短期大学の理事を務める大原万里亜さん。大原さんは大学卒業後、特別支援学校の教諭として働いていた。生徒たちの排泄の世話をすることも多く、寝たきりの状態で、生理による不快感や痛みを訴えられない子どももいた。

大原万里亜さん:
「真っ赤になっていたり、かぶれていたり…。『気持ち悪かったよね、辛かったよね、ごめんごめん…』って思いながら。きれいになったら『さっぱりしたね、スッキリしたね』って」
ある日のこと、寝たきりの子どもを持つ母親が、ポツリとつぶやいた。「この子は寝たきりで結婚もしないし、子どもも産めない。それでも生理はある。生理なんかなきゃいいのに。成長しなかったらいいのにー」
大原万里亜さん:
「『生理』があるというのは、ちゃんと機能が整っているということなんです。妊娠・出産のための機械的なものではなく、身体が整っているということ。神様が与えてくれた機能が備わっている、尊いことなんです」
「生理なんてー」その言葉の背景には、介護や看護の大変さ、痛みや不快感に寄り添いきれないもどかしさ、将来への不安、悲観、様々複雑な思いが絡み合っていたであろう。