“働き方のイマ”に注目するシリーズ「work23」。第7弾は「発達障がいと働き方」について。発達障がいはコミュニケーションなど苦手な分野がある一方で、優れた能力が発揮される場合もあり、そのアンバランスさが理解されにくい障がいです。全国に87万人いると推計されていて、「働きたい」と思う発達障がいのある人が活躍できる、安定した職場作りが急務となっています。

わずかな物音で集中力が…発達障がいと働き方

31歳で、ある企業の新入社員になった山内さん。取材したこの日、山内さんは1か月間の研修を終え、初めて仕事を任されました。

リモート会議の上司
「簡単ではない案件なんですけど、山内さんの能力とパッションなら乗り越えてもらえると」

山内さん(31)
「ちょっとどきどきしています。評価が気になる…すごく難しそうだなと思って」

山内さんは、17歳の時に「広汎性発達障害」と診断されました。わずかな物音や視界のちらつきで、集中力が大きく奪われてしまうという特性があります。

山内さん
「隣の席の人が大きな貧乏揺すりをしているとか、そういうので集中力を持って行かれたり…」

大学2年生の頃に、重度のうつ病を患い、大学を中退。単発バイトで働くも、悩みは深くなるばかりでした。

山内さん
「人生これでいいんだろうかと…。単にうつ病に押し潰されている状態から、『これから自分どうしよう、レールから外れちゃったし』と思って、単発バイトの後にすごく悩む時期に入る」

浮き沈みを繰り返し、のべ7年間ひきこもっていましたが、支援者から紹介されたアルバイトを続けるうちに自信を取り戻していきました。

山内さん
「大学も中退で終わっちゃったし、やっぱり何か…『なし得たい』ではないですけど、そういう気持ちがあって勉強し始めて。未経験で始められるエンジニアやプログラマーみたいなところを探していたんですけど、受からなくて…」

「(面接で)『お客さんと接する機会があるけど、ちゃんとコミュニケーションを取れるか?』とか。自分の病気のこととかに関して、あまり深く聞かれると答えられなかった」