麻生氏トップのFOIP戦略本部、永田町をざわつかせたワケ

石破政権が迷走する中、5月14日に開かれたある会合が永田町を騒がせた。それが、自民党の政務調査会に置かれている「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)戦略本部」だ。この戦略本部は、安倍晋三元首相が提唱したインド太平洋地域の安定と繁栄に向けた外交政策を継承・発展させるために議論する場だ。

注目すべきは、この会合に集まったメンバーだ。麻生最高顧問をトップ、高市前経済安保担当大臣をナンバー2として、茂木敏充前幹事長、萩生田光一元政調会長、西村康稔元経産大臣といった、石破総理と距離を置く「非主流派」の有力議員が一堂に会した。

麻生氏がFOIP戦略本部のトップを務めるのは異例だ。自民党の政務調査会には80以上の組織があるが、その中で麻生氏が会長を務めるのはFOIP戦略本部のみ。さらに、集まったメンバーが明らかに石破総理と距離を置く議員ばかりだったことから、永田町では政局的な思惑があるのではないかとの見方が広がった。

ある参加者は「何も高市さんを意識した会ではない。麻生さんとしても、次の総裁を見極める上でどの選択肢も排除しないようにしているんだと思う」と麻生氏の思惑について語る。一方で、ある戦略本部役員は「出席者はみんな非石破であることは事実。石破政権は支えるとしても永遠に続くわけではないので、もし何かあった時に常に準備はしておかないと」と本音を漏らした。

他方で、注目すべきは総裁候補の1人である小林鷹之元経済安保担当大臣がこの会合に欠席したことだ。麻生氏は小林氏のことを「どの分野の答弁も国民にわかりやすく説明する能力は素晴らしい」と高く評価し、目をかけているだけに、その欠席は記者をざわつかせた。

小林氏は衆議院の「財務金融委員会」の筆頭理事を務めており、その職務を理由に欠席したとされているが、記者は「次も総裁選に出ると公言している小林氏は、高市氏と距離を置きたいのでは」と推察する。