石破政権が江藤農水大臣の更迭で揺れる最中、永田町では別の動きが進行していた。自民党の自由で開かれたインド太平洋(FOIP)戦略本部が5月14日に開かれた。麻生太郎最高顧問を筆頭に、高市早苗前経済安全保障担当大臣や茂木前幹事長ら、いわゆる「非主流派」の有力議員が一堂に会したのだ。この会合は単なる政策議論の場なのか、それとも次期総裁を見据えた政局的な動きなのか。石破政権の行方と、自民党内で静かに進む権力争いの真相に迫る。
江藤大臣更迭で露呈した石破政権の危機管理能力の低さ
石破政権は、江藤農水大臣の「コメを買わない」発言をめぐる騒動で大きな打撃を受けた。当初、石破総理は江藤大臣の続投を検討していたが、会見での対応などをめぐり事態は急速に悪化。少数与党で、野党がまとまって大臣の不信任案提出を提出すれば可決される状況であることから、江藤大臣の辞任という形で決着した。

この一連の対応で浮き彫りになったのが、石破政権の危機管理能力の低さだ。発言が報じられた当日、林芳正官房長官は会見で質問を受けるも、約1分半フリーズする場面があった。さらに、江藤大臣本人も「撤回というより修正」などと火に油を注ぐような発言を繰り返し、事態を悪化させた。
ある自民党関係者は「石破総理が激怒して更迭すれば支持率が上がったのに」と語り、政権の対応の遅さを指摘。安倍政権時代は、不祥事が起きれば菅義偉官房長官がすぐに本人に確認し、問題があれば対応するなど、官邸内の危機管理意識が高かったという。