福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は福島市の駅前にある老舗の酒店を取り上げます。長年受け継がれているのがお酒へのこだわりと情熱です。新たな事業もはじめたお店には常にお客さんの笑顔が広がっていました。
福島市の中心部に位置する置賜町。飲食店などが立ち並び、夜もにぎわう街には老舗のお店が点在します。そのひとつが「中屋酒店」です。
--田中信幸さん(中屋酒店 三代目代表)「昭和5年から始まり、創業95年目です。私が代替わりしてから、焼酎に重きをおいておりますので、焼酎の数は多いですね。」
そう、こちらは1930年創業の酒店。三代目である田中信幸さんの祖父が始めたお店です。
創業当初から日本酒など様々な種類のお酒を幅広く取り扱っていた中屋酒店。そんなお店を信幸さんが跡を継ぐ際、本場九州の本格焼酎を多く取り扱うようにしたといいます。
--田中信幸さん(中屋酒店 三代目代表)「代替わりした時に、酒類販売免許が緩和されたので、その折りに特徴のある酒屋になろうと思いまして。他の酒屋さんが手を付けていなかった本格焼酎を、自分も好きだったのでここでいってみようと思いました。」
お店の自慢は“どこよりも種類豊富な本格焼酎”。珍しいお酒も取り揃えているといいます。
--田中信幸さん(中屋酒店 三代目代表)「これは鹿児島の若潮酒造さんの“GLOW ep08”という焼酎です。芋焼酎ですが、ピーチやフローラルな香りがします。ソーダ割で楽しんで頂ければ。」
他にも・・・
--田中信幸さん(中屋酒店 三代目代表)「こちらも鹿児島の大海酒造さん、“くじらのボトル”といいます。スタンダードな芋焼酎ですが、ロック・お湯割り・水割り、それぞれおいしくいただけます。」
さらに、中屋酒店には全国的にもここでしか取り扱っていないお酒も。14年という年月をかけて蔵元を口説き落とし、取り扱いを始めたお酒もあるなど、とにかくお酒へのこだわりと情熱はどこにも負けていません。そんな父の背中を見てきたのが、将来四代目として跡を継ぐ長男の廉さんです。
--番組スタッフ「代を継ぐ際に不安なことは?」
--田中廉さん(中屋酒店 四代目)「不安だらけではありますが、同世代よりはお酒の知識や思いは高まっているので、(お店を)引き継いでも父親のスタイルを上回っていけるような酒屋になりたいと思います。」
そんな廉さんの仕事は、お店での販売だけではなく、周辺の飲食店への配達も。周辺のお店には徒歩で配達するんだそう。
--母屋 たすいち「私たち飲食店にとって中屋酒店は無くてはならない存在なのかな。配達していただけなければ、私たちは営業も出来ないですし。これからも根強く、しっかりとしたお酒の販売を楽しみにしておりますので、応援させて頂いております。」
周りの飲食店からの信頼も厚い中屋酒店ですが、去年、新たな事業を始めました。それがこちら。中屋酒店の隣にお店を構える、その名も「ナカヤノトナリ」。こちらは一体?
--田中信幸さん(中屋酒店 三代目代表)「角打ちのお店です。有料で試飲ができる場所ですね。おうちで(お酒を)飲んで、心がほっとするような、ちょっとした毎日の幸せな時間を届けられればうれしいんですが、そのきっかけとなるような、さらにお酒を楽しんでもらえるような場を作って、もっと入りやすい形を角打ちに求めていた部分はありますね。」
そう、こちらは立ち飲みを楽しめるお店なんです!今の季節にオススメの「海柴(ソーダ割)」(500円)。爽やかな口当たりでソーダ割がオススメ!
こちらは先ほど信幸さんに紹介してもらった「GLOW ep08(ソーダ割)」(500円)というお酒。ピーチなどのフルーティーな香りで飲みやすい焼酎です。
こちらは…?
--田中信幸さん(中屋酒店 三代目代表)「ビワミンのマスカット酢というものなんですけど、マスカットのお酢を使って、疲労回復だったり美容によかったり。福島県内だと2店舗くらい(取り扱っている)かな。」
これはいろんなお酒試してみたくなっちゃうな~!
--お客さん「あまり聞いたことがないお酒も紹介して頂いたので、おいしかったです!」
--お客さん「(ナカヤノトナリ)に来て自分がこれだと思うおいしいお酒を決めるのが、難しくなりました。」
多くの人にお酒の魅力を発信している中屋酒店。その可能性は広がり続けます。
--田中廉さん(中屋酒店 四代目)「もう少し、日本酒のラインナップも増やしたいというのもありますし、焼酎以外の蒸留酒、ウイスキーやジンなど幅広く取り入れていけたらなと思っています。」
昔から築いてきた地元の人たちとのつながりを大事にしながら、新たな風も取り入れていく中屋酒店。そんな魅力ある老舗にはいつも笑顔が広がっています。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年5月22日放送回より)