「笑顔で楽しく授業したい」50分の授業をやり遂げ自信に

 そして本番当日を迎えました。

 (小溝幸音さん)「吃音で私たちだけじゃなくていろんな人がしんどい思いをしているので、いろんな吃音の方がいることを知ってもらえたらうれしいです」

 生徒として参加するのは現役の教員や吃音の当事者たちです。

 (小溝幸音さん)「みなさん本日はお集まりいただきありがとうございます。2時間目を担当する小溝幸音です。よろしくお願いします」

 大勢の人の前で話すときに吃音の症状が出やすい小溝さん。緊張しているようです。

 (小溝幸音さん)「私の目標は小学校の先生になって、周りとの違いに悩む児童の支えになること。また、自分の個性、周りの友達の個性を尊重できるような環境をつくることです」

 授業では、自身の体験した出来事を挙げながら吃音のある人とどのように接すればいいかを話すことにしました。

 (小溝幸音さん)「(部活などで)お前なんで声出さへんねやって怒られたこともありました。怒られたことでまた今度も怒られるんじゃないかなという怖さから、余計に声が出なくなる悪循環が引き起こりました。私は出さなかったのではなく、出せなかったということを知ってほしいなと思います」

 (小溝幸音さん)「話をしているときに吃音が出たとき、吃音が出ても(話し終わるまで)最後まで待ってほしいという人もいます。また吃音が出て周りの人に待ってもらうのが申し訳ないということから、どういうことが言いたいのか、わかったら代わりに言ってほしいという人もいます。私は吃音が出ても最後まで待ってほしいです。このように吃音者の中でもしてほしい対応は異なるため、その人に合った対応をする必要があります」

 50分にわたる授業が終わりました。参加者は…

 (現役教員)「一人ひとりそれぞれ支援してほしい、フォローしてほしいことが違うっていうのも知ることができたので、どうしてほしいっていうのも保護者の方とか本人と話をしながら、コミュニケーションを取りながら進めていけたらなと。吃音があるお子さん生徒さんにとっては、安心できる先生になってくれると思います」
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 (吃音がある中学生)「(吃音を)知ってもらったほうが、吃音があっても普通に接してくれると思うから、楽になると思う。高校生になったら絶対に参加しようと思いました、先生側で」

 授業をやり遂げた小溝さん。少し教壇に立つ自信がついたようです。
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 (小溝幸音さん)「ずっと緊張してたんですけど、始まってみると意外とあっという間で、私がしゃべってるときに吃音が出てしまっても笑顔でうなずきながら聞いてくれて、不安やなって思うところもあったけど、お客さんの様子とか対応とか含めて楽しかったです。きょうみたいな感じで笑顔で楽しく授業したいなって思います」