冤罪事件に衝撃を受け弁護士を志した少年は、いま社会と向き合っている。TBS系ドラマ『イグナイト -法の無法者-』の法律監修を務めた弁護士・福島健史氏は、エンターテイメント法務、企業法務や民事訴訟などに広く携わりながら、法律が「誰かの声を届ける力」になることを信じて活動を続けている。自身の原点、現場のリアル、そして法曹を志す若者へのメッセージまで。1つ1つの言葉から、福島氏の真摯な姿勢が見えてくる。
弁護士という選択――「守る側に立ちたい」と思った原体験

「きっかけは、冤罪事件のシンポジウムです。もし自分や家族が同じ立場になったらどうなるのか、誰が信じてくれるのか――。消されそうな声とともに戦う弁護士たちの姿を見て、『弁護士』という職業に惹かれました」。福島氏が将来の夢を見据えたのは小学生の時だった。
ただ、本気で目指そうと決めたのはもう少し後のこと。「大学に入ってからです」と福島氏は振り返る。
「ちょうど法科大学院制度が始まった時期で、法学部に入ってもロースクール進学が必須でした。それならば、『まずは広く世界を知ろう』と思い、早稲田大学の国際教養学部へ進学。その後、同大学の法務研究科に進み、本格的に弁護士を目指して勉強を始めました」。