ふるさと納税で多額の寄付を得たことを理由に国が地方交付税の減額を決定したのは違法だとして、大阪高裁は決定の取り消しを命じる判決を言い渡しました。

 大阪府泉佐野市は2019年、ふるさと納税で約185億円の寄付金を集めましたが、総務省は多額の寄付を得た一部の自治体について財政に余裕があるとして、省令を改正して地方交付税を減額。これにより、2018年は約4億9700万円だった泉佐野市への交付税額は、2019年度には約5300万円と4億円以上減りました。

 泉佐野市は、国の決定の取り消しを求めて提訴し、1審の大阪地裁判決は決定を違法として取り消しを命じましたが、2審の大阪高裁判決は、「裁判で審理すべき対象ではない」として、却下しました。

 (泉佐野市・道下栄次参与)「入り口論だけで先を絶たれたようなことになる。市としてはそこがまず残念な点だ」(2023年)

 泉佐野市は上告し、最高裁判所は今年2月、地方交付税の金額は総務省の決定によって定められていることから債権債務関係があるとして、市の訴えは審理の対象になるとの判断を示し、大阪高裁に差し戻していました。

 こうした紆余曲折を経て迎えた、10月9日の判決。大阪高裁は「ふるさと納税寄付金の収入が一定額になるという事情を、特別交付税の減額要因とすることは趣旨に沿うと言えない」などとして国の控訴を棄却し、国の決定の取り消しを命じる判決を言い渡しました。

 9日の判決を受けて泉佐野市は…

 (泉佐野市・道下栄次参与)「5年以上が過ぎて、長かったというのは長かった。即刻この総務省令を廃止してもらいたい」

 また、泉佐野市の千代松市長も「判決はふるさと寄附を標的にした総務大臣の法の委任の範囲を超えた恣意的な特別交付税における処分に対するものであり、国の交付税行政を質す意義があったものと思っております」とのコメントを出しました。

 一方で、村上総務大臣は「判決の内容をよく精査した上で関係省庁とも協議の上、対応を検討してまいります」とコメントしています。