共感と熱量が弁護士を動かす

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』より、上白石萌歌

「法律を使って何ができるかを考えるとき、必要なのは知識と同時に熱量だと思います。依頼者の覚悟に応えないといけないんです。いまは企業法務とエンターテイメント法務を中心に扱っていますが、どの案件でも弁護士としてのスタンスは同じで、やはり依頼者の熱量と同じだけの熱量で仕事をやるのが大事と思っています」。

依頼者の想いや悔しさに触れたとき、“何とかしたい”という気持ちが自分の中にも湧いてくる。「その感情の高まりこそが、弁護士としてのエネルギーになる」と語る。

一方で、依頼者の気持ちや考えを完全に理解することはできない。そうした「共感の限界」についても福島氏は率直に語る。

「依頼者の人生そのものを経験することはできない。だからこそ、想像を働かせることが大事であり、さまざまな境遇や経験を経てきた人が弁護士になることが大事と思っています」。

また、依頼者側にも“覚悟”が求められると福島氏。「訴えることで人間関係が悪化したり、職場に居づらくなったりするケースもあります。損害賠償請求の書面を出すということは、相手にとっても大きな影響を与える。その重みは、避けて通れないものなんです」。

裁判は冷たく見えて、実は人間の“感情”を土台に動くものだ。依頼者の熱量に触れたとき、弁護士もまた奮い立つ。「依頼者が本気だからこそ、こっちも本気になれる。そうやって一緒に声をあげて戦っていくのが弁護士の仕事なんです」。