「統合してもうまくいくはずがない」は現実を知らない論評だ

経済ジャーナリスト 井上久男さん
日産とホンダは企業イメージが違うため、「統合してもうまくいくはずがない」といった論評をする人もいますが、こうした論評をされている方は、「現実」を知らずに、イメージだけで語っている面があります。
日産とホンダが組めば、前述した次世代技術の共同開発だけではなく、足下でもエンジンなどの共通化、車両相互補完などの面で大きな相乗効果が出ると見られます。
ホンダは日産との経営統合により、5~6年後には営業利益で1兆円の押し上げ効果があると見ていました。
日産では内田前社長時代は意思決定が遅く、リストラも実行スピードが遅いので、ホンダがしびれを切らした面はあります。
またリストラの内容も危機感が足りないとホンダは感じていて、ホンダ側の試算では日産の余剰人員は3万7000人でした。
共同持ち株会社方式の経営統合では、日産側に一定の経営の裁量が残るため、ホンダが完全に支配できる子会社化を提案したのだと思います。
日産の生き残りを考えるのであれば、ホンダの子会社になったほうがよかったかもしれません。