経営不振に陥った日産自動車が示した再建計画が、波紋を広げている。
国内外の7工場閉鎖や2万人の従業員削減を掲げているが、そもそも日産はなぜ約6700億円の巨額赤字に転落したのか。

日産とルノーの提携をスクープした経済ジャーナリスト・井上久男さんは、「リストラしないと生き残れないが、リストラしても生き残りの保証はない」と話す。
その理由と内情を聞いた。

「魅力的な車を作ること」に投資しなかった

経済ジャーナリスト 井上久男さん
日産が”カルロス・ゴーン体制”(2000年社長就任~2019年取締役解任)の末期に「世界で700万台販売」を掲げ、各地に工場を相次いで建設しました。
しかし「顧客が求める魅力的な車を作る」ことに投資をしなかったため、車が売れない状況になったわけです。
「日産らしさ」を示すブランド力が低下、北米市場で人気が高まっていたハイブリッド車も弱く、力が発揮できませんでした。
今、生産・利益計画と大きな差が出たため、簿価を見直す会計上の減損処理をしました。
帳簿上の処理でこれだけ大きな赤字になったわけです。