「年金制度改革法案」3つのポイントは?

 今回の年金制度改革法案に含まれた主な内容は次のとおり。
 (1)「106万円の壁」の撤廃
 (2)「標準報酬月額」の上限引き上げ
 (3)「在職老齢年金」の制度見直し

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 1つ目が、「106万円の壁」の撤廃です。106万円は、厚生年金への加入義務が発生する年収要件で、106万円に達しない範囲で働くという“働き控え”の原因とも指摘されています。今回の改革案では、厚生年金の加入要件のうち、「年収106万円以上」を撤廃。企業規模の要件についても「従業員51人以上」という要件を段階的に緩和・撤廃することで、約200万人が厚生年金に新たに加入できる見立てだということですが、今まで発生していなかった社会保険料が生じた場合、抵抗がある人もいるかもしれません。

 これについて、第一生命経済研究所の谷口智明研究理事は「国民年金分だけでなく厚生年金分の年金も将来的にもらえることになる。このメリットをどう理解してもらうかが大切」だと言います。

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 2つ目が、「標準報酬月額」の上限引き上げです。厚生年金の保険料は収入ごとに区分けして決定されていますが、この区分けの上限を65万円から75万円に引き上げようという内容が今回の法案に盛り込まれています。これが実現すれば、高収入の人がより多くの保険料を納めることになりますが、一方で多く納めた分将来もらえる額も多くなります。

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 3つ目が「在職老齢年金制度」の見直しです。在職老齢年金制度とは、働く高齢者の「収入+厚生年金」が「支給停止調整額」を超えると年金が満額はもらえなくなる、つまり、現役世代並みの収入がある高齢者が“支える側”に回るという仕組みです。今回の見直しでは、この「支給停止調整額」を、現在の50万円から62万円に引き上げようというのです。

 これにより、いままで50万円の範囲に収まるよう“働き控え”をしていた高齢者が、62万円の範囲まで働くようになり、労働力不足解消の一手になるという考え方もあります。一方、満額もらえる人が増える=国が支払うお金が増えますが、「年金財政的にはマイナスでも、標準報酬月額の上限引き上げでほぼ相殺される」と谷口氏は指摘しています。