スタンドの観客数で走りが変わる?
前日までの取材で話すコメントからも、サニブラウンが絶対の自信を持っているわけではない。ただ前述のように、練習で行っている40~70mの走りができれば、サニブラウンにも勝機はある。
そしてもう1つの勝機が、国立競技場の観衆の存在だ。
サニブラウンは大会2日前の16日に新宿区の小学校を訪問。東京五輪200m金メダリストで、GGPの200mに出場するアンドレアス・ドグラス(30、カナダ)らと陸上教室を行い、小学生たちと触れ合った。
「観戦しに来る子たちもいるようです。GGPでは子どもたちにカッコいい姿を見せたいですね」
サニブラウンは日本の陸上界を盛り上げ、世界レベルと戦える水準まで引き上げたいという想いから、小中高生を対象とした短距離特化型の大会「DAWN GAMES(ドーンゲームス。DAWNは夜明け、黎明の意味)」を昨年から開催している。今年も6月21日に西日本エリア予選を、8月2日に東日本エリア予選が行われる。
若年層へ自身から積極的に働きかけも行うし、彼らの応援も自身の力にしようとしている。それは子どもたちだけでなく、観衆の存在も同様だという。
「観客の数で走りが変わるかもしれません。パンパンのスタジアムと、大学のトラックを走るのでは全然モチベーションが違いますから」
東京2025世界陸上のことをイメージしての言葉だが、GGPでも観客の盛り上がり方次第では、サニブラウンの“カッコいい”走りが見られることになる。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















