ウクライナとロシアの停戦へ向けた直接交渉がきょう15日にトルコで行われます。侵攻から3年3か月、新たな動きもみられるなか、鹿児島で暮らすウクライナ人は「言葉より行動が大事」と話します。

(郡山虹夏さん)「昔は話し合いがあるというニュースが流れてくると少し変わることを信じたが、今はニュースが入ってきても無」

ウクライナ東部・ドニプロ出身の郡山虹夏さん(28)です。9年前に来日し、日本人の夫と4歳の息子と鹿児島市で暮らしています。

自宅の一部を改装し、ウクライナの文化を伝えるためのカフェと雑貨の店を今月14日にオープンしました。

毛糸で作られたお守り「モタンカ人形」や、絵本が並ぶほか、ボルシチなどの郷土料理を味わえます。

(郡山虹夏さん)「世界の中でウクライナ=戦争の国だと思われていて、悲しい、悔しい。文化を消すことで人種が消えるから、日本で伝えていく、広めていくことで文化を守りたい」

2022年2月24日に始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻。国連によりますとこれまでに1万2300人以上の民間人が死亡しています。(※2025年1月発表)

虹夏さんの母と妹は、侵攻直後の3月に鹿児島市に避難してきました。教師だった母は児童クラブで働き、妹は日本の大学への進学を目指しています。この3年余り、鹿児島は「避難先」ではなく「暮らす場所」になりました。

(郡山虹夏さん)「(妹は)友達の心配で最初は恐怖が強かったが、今は落ち着いた。(母は)何もできない悲しみがあって、それでも個人的には生活的に満足していると。昔に戻りたいとかはあるかもしれないが、それができないので。国を出た=安全だが、すべてをなくすのもイコール」

きょう15日、トルコでウクライナとロシアの停戦へ向けた直接交渉が行われますが、虹夏さんのふるさとでは今、ロシアからの攻撃が再び強まっているといいます。

(郡山虹夏さん)「ウクライナを元の形に戻しては欲しいが、たぶん夢でしか見られない」

店の名前は「なごり」。ウクライナ語で「山の上」を表し、漢字の「名残」からふるさとの文化を“残す”という想い込めました。

(郡山虹夏さん)「力で勝つことがなくなってほしい。奇跡を信じるぐらい」

県内では4月末時点でウクライナから15人が避難しています。

虹夏さんのお店「なごり」は予約制で、お店のインスタグラムやラインで受け付けています。