◆無秩序な市街化を防ぐ目的

この地域が「市街化調整区域」になったのは札幌オリンピックを2年後に控えた1970年。

人口の増加に伴う無秩序な市街化を防ぐことが目的でした。

札幌市の開発指導課は、蒸溜所誕生の翌年2019年に勧告書を出し、倉庫に戻すよう求めています。

その一方で、同じ札幌市の保健所は蒸溜所に対して酒類製造業の施設としての許可を出しています。

札幌市保健所食の安全推進課 寺島寛樹 課長
「法のたてつけもあって食品衛生法上の施設基準に合致していれば許可を出さざるを得ない」


札幌市によりますと、蒸溜所側は是正にむけた動きを進めているということですが、蒸溜を続けるには、この場所を離れるしかありません。

市街化調整区域は、新たに事業を始めようとする人にとって、活用に限界がある土地なのです。

◆札幌市内に違法建築は約3300棟

札幌市によると、市街化調整区域内の違法建築は約3300棟。

このうち87棟が、今回のような用途違反の建物です。

市街化を抑制する「市街化調整区域」。

自治体が指定する背景には、住宅が点在してしまうと道路や水道などのインフラを計画的に整備することが難しくなる事情があります。

一方で、札幌市は、観光対策などから、丘珠空港や札幌ドームの周辺などで規制を緩和し、限定的に土地を活用できないか検討を始めています。