ゴールデングランプリと東京2025世界陸上の4×100mリレーへ

次戦は1週間後、5月18日開催のゴールデングランプリ(GGP)になる。そこまでは「的を絞るのでなく、全体的に流れを良くするかんじでやっていく」と練習をイメージしている。

GGPには19年世界陸上金メダリスト、9秒76の米国歴代3位を持つクリスチャン・コールマン(29、アメリカ)が出場する。タイムも実績もはるかに上の選手。「勝ちたいという気持ちを最後まで持てるかどうか。予選で負けても、決勝は絶対に1着を取りたい、という気持ちをウォーミングアップから、ピストルの音が鳴るまで、持ち続けます」。木南記念の2日後に30歳になるが、強気の小池も健在である。

日本が世界陸上の金メダルを狙う4×100 mリレーに関しても、小池の復活で候補選手層が厚くなる。木南記念前日には世界リレー選手権(中国・広州)の男子4×100mリレー予選で、1走からサニブラウン・アブデル・ハキーム(26、東レ)、愛宕頼(21、東海大)、鵜澤飛羽(22、JAL)、井上直紀の日本が37秒84で全体トップ通過をしていた。サニブラウン以外は初めてのリレー代表だった(決勝は別メンバーで4位)。

19年ドーハ世界陸上、21年東京五輪、23年ブダペスト世界陸上とリレーメンバーだった小池は、「嬉しいですね」と感想を口にした。

「ずっとリレーを走ってきたメンバーしか信用できない、みたいな空気もあったと思うんです。それがかなり払拭できたと感じました。自分より下の世代だけで走ってこれだけ行けたのは嬉しいです」

メンバー入りへの危機感よりも、喜びの感情が先に出た。自身がリレーメンバーに加わったときに、メダルを取る確率が大きくなったからだろう。そのためには標準記録か世界ランキングで出場資格を取り、代表選考の日本選手権を勝ち抜く必要がある。

「標準を切って出場する選手はリレーも外れないでしょうから、まずは個人に集中します。リレーの金メダルは9秒台の選手が2人くらい必要なので、自分にできることはしっかり9秒台を出してファイナルに残ること」

まだ10秒09ではあるが、木南記念の内容が良かったことで、小池の視界が9秒台を出したとき以上にクリアになった。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)