映画的演出と連動する「光に耐える」美術

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』より、間宮祥太朗

本作は、BABEL LABELとTBSによる共同制作。演出面では映画的なアプローチが採られ、特に照明演出は従来のテレビドラマとは一線を画している。
「顔全体を照らすというより、陰影を強調する照明設計。暗がりを生かした構図が多い。だからこそ、セットの質感が映えるんです」。

照明と美術の連携は密接であり、“光に耐える”セットでなければ画にならない。“映らない部分”もきちんと飾り、演技のための空間を整える。「役者がセットに入ったとき、キャラクターになりきれるように。自然と小物を触りながらセリフを話していたり、動きや動線、細かい芝居はただしゃべるだけじゃない。芝居の奥行きは美術で決まると思っています」。

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』より

“静かな語り手”としての美術は、台詞の背後で観客の感情を揺さぶる。『イグナイト -法の無法者-』の空間には、登場人物の背景や価値観が静かに浸透しており、視聴者がその空気感を自然と読み取る余地が残されている。美術装飾の存在は、あくまでも控えめでありながら、物語の輪郭を確かに支えている。

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』より