幼い頃に受けた性的虐待が原因で、大人になってからPTSDを発症したとして県内の女性が実の父親に損害賠償を求めた裁判で、最高裁判所は女性側の上告を退けました。女性側の弁護士が8日、会見し「誰も救ってくれない、司法の役割は何だと問いたい」とする女性のコメントを代読しました。

この裁判は、広島市の40代の女性が子どもの頃に実の父親から性的虐待を受け、20年以上が経った大人になってからフラッシュバックなどのPTSDを発症したとして、父親におよそ3700万円の損害賠償を求めたものです。

1審・広島地裁、2審・広島高裁の判決では、父親の虐待を認めたものの「20年以上前に発生した被害のため、損害賠償請求権は消滅している」として、女性の訴えを退けていました。

女性側は、「損害賠償請求の権利が消滅する除斥期間を適用すること自体が問題」などとして、上告していましたが、最高裁は4月16日付けで、上告を退ける決定をしました。

8日に会見で代理人弁護士が女性のコメントを代読しました。

「感情も知識も追いついていないうちに被害に遭って、ようやく人に話せるようになったときには『時間切れ』。助けてくれない、誰も救ってくれない、司法の役割は何だと問いたいです」

また女性は、同じ境遇に置かれている人に対し、「つらくても話をする場があるだけでも少しは救われる。どうか助けを求めてほしい」と訴えています。