<大阪桐蔭vs佐賀工>体がぶつかる音が聞こえる…決勝は気迫こもる戦い!

 ともにプール戦から4連勝。苦しい場面を何度もチーム一丸で乗り越え、決勝の舞台に辿り着いた両チーム。前半から体をぶつけ合う音が聞こえてくる、気迫のこもった戦いとなりました。

 先制したのは佐賀工。立ち上がりから持ち味の“前に出るディフェンス”で大阪桐蔭を自陣に押し込むと前半6分、WTB岩屋武琉選手がPGに成功して3点をリードします。一方の大阪桐蔭もその後反撃。風上の中、キックを使いながら落ち着いて敵陣で試合を進めていきます。そして14分、WTBモレノ 経廉ザンダー選手が抜群のスピードと足腰の強さを見せて佐賀工ディフェンスを突破すると、ラックから素早くボールを持ち出したSH福島悠右選手が右隅に飛び込みトライ。5対3と逆転します。

 逆転を許した佐賀工。それでも、地元の大声援を背に攻勢に出ます。大阪桐蔭が自信を持つスクラムを押し込んでペナルティーを奪うと、大阪桐蔭をゴール前に釘付けにして攻め込みます。しかし、一人一人が当たりの強さと集中力をみせる大阪桐蔭は、5分以上続いた佐賀工の攻撃をしのぎ切ります。そして24分、SO矢守勇生選手の絶妙なキックで敵陣深くまで攻め込むと、FW陣が執拗に縦を突いた後、最後はFB須田琥珀選手が右中間にトライ。10対3とリードをひろげました。

 それでも差は7点。前半の残り時間が少なくなる中、佐賀工も焦らず反撃します。直後のキックオフから鋭い出足で大阪桐蔭の反則を誘うと、今度は敵陣深くに攻め込みチャンスをものにします。何度も何度もFWで攻撃を仕掛けた後の29分、最後はキャプテンのNO8長谷川怜生選手が気迫でゴールポスト右横にトライ。ゴールも決めて10対10の同点に追いつき、前半を終了しました。

 サイドの変わった後半。どちらが試合の流れを引き寄せるのか注目が集まる中、主導権を握ったのは大阪桐蔭でした。キックオフ直後、佐賀工のペナルティーを生かして敵陣深くまで攻め込むと、佐賀工のしぶといディフェンスに苦しみながらも粘り強く攻撃を仕掛けていきます。最後は、得意のスクラムをしっかりとコントロールした後、エースのWTBモレノ選手が狭いサイドをついて右隅にトライ。15対10と再びリードを奪います。

 このトライでペースを握った大阪桐蔭はさらに9分、今度は敵陣25m付近からFWとBKが一体となった鮮やかな攻撃で佐賀工ディフェンスを切り裂くと、再びモレノ選手が右隅に飛び込んでトライ。20対10と、差を10点にひろげました。10点のリードを奪った大阪桐蔭。その後もキックを上手く使いながらFWでプレッシャーをかけ、佐賀工陣内深くまで攻め込んでいきます。しかし、初優勝へ執念を燃やす佐賀工の前に、大事なところで阻まれ追加点を奪うことができません。

 逆に、ピンチをしのいだ佐賀工は、後半15分を過ぎたあたりからようやく大阪桐蔭陣内に入り込むと、SO吉浦太我選手が風上を上手く利用したキックでFW陣を前に出し、敵陣深くまで攻め込んでいきます。そして後半22分、ラインアウトからのモールを押し込み、トライエリアまであとわずかの位置まで迫ると、FW陣の力強いキャリーの連続からLO山田哲平選手がトライ。岩屋選手が大事なコンバージョンキックを決めて20対17。ついにワンチャンスで逆転可能な3点差に迫りました。

 残り時間は7分余り。風上の中、キックを使って敵陣深くに攻め込みたい佐賀工と、エリアを確保しながらも上手く時間を使いたい大阪桐蔭。両チームの思惑が交錯する中、先にチャンスをつかんだのは佐賀工でした。キックを上手く使って大阪桐蔭陣内22m付近まで攻め込みます。逆転を狙ってボールをキープしながら攻める佐賀工と、全員が集中したディフェンスで前進を許さない大阪桐蔭。両チームの優勝への執念が激突する緊迫の時間が続きます。このピンチに大阪桐蔭は、WTBモレノ選手が佐賀工のFW選手を一発で倒す強烈なタックル。このプレーに呼応した周りの選手が、ポイントを乗り越えてターンオーバー。大阪桐蔭が王者の底力を発揮してピンチを脱出しました。

 マイボールを確保した大阪桐蔭は、時間を使いながらエリアを回復。最後は敵陣での佐賀工の反則を誘って、ついにノーサイド。息詰まる熱戦に終止符を打ちました。手崎颯志主将が「連覇は意識していなかったが、できて嬉しいです。この大会を通して、最後のディフェンスの粘りが成長できた。チームの(中の)信頼もとても大きくなった」と語った大阪桐蔭。見事、日本のチームとして初の大会連覇達成です。