「入社2年目」で大ヒット商品開発

そのゴリラシリーズを販売しているのは、「猫舌専用のボトル」や「白湯専用のマグカップ」などニッチな商品を手掛けてきた『ドウシシャ』(大阪本社:大阪市中央区)。

そして、大ヒットの「ゴリラシリーズ」を開発したのは入社4年目の25歳、水島英恵さん。入社2年目で「ゴリラのひとつかみ」を世に出した若きヒットメーカーです。

今回の新商品はフライパンとジョッキ。いったいなぜゴリラシリーズで?

ゴリラシリーズ開発者・水島さん(25):
「社内のフライパンを担当している部署から、ゴリラの企画が話題になっているということでお話をいただいた」

実は先ほどのフライパン、軽さにこだわって作ってみたものの“売り場での差別化”に悩んでいたとのこと。
そこで、ゴリラシリーズを手掛けた水島さんに「ゴリラを使って売り出せないか」と相談が来たといいます。

水島さん:
「商品の一番の特徴が<軽さ>だったので、”ゴリラがハイパワー”。自分がゴリラになったかのような気分で使えるという企画にしたら面白いんじゃないかということで、ユニークな名前<ゴリラのひとつまみ>にした」

手に取りたくなる「ゴリラ式」演出

さらに、タンブラー担当社員が「ゴリラが使うならこんなジョッキかな…」と新商品の提案として持ってきたのが2kgのジョッキ。
しかし、そのままでは「ただ重いだけ」で、誰が何のために使う商品なのかがはっきりしませんでした。

そこで水島さんは、物はそのままに魅力的な売り出し方を考案。まず考えたのは、【2kgならではのメリット】でした。

水島さん:
「軽いとお酒をグイグイ飲んでしまう。重くすることでストレスが生まれると飲むのが嫌になって飲む量が減る。“飲みながら健康”みたいな形で商品を企画できればと」

しかし、自分のためにわざわざ重いジョッキを購入する人は少ないだろうと考え、目を付けたのが【ギフト需要】
そのため、あえて“ジョッキの持ち手を箱の外に出す”パッケージにしたといいます。

水島さん:
「プレゼントとして渡して『わっ、重っ。何これ』みたいな感じで笑いが生まれる。そのシーンをポイントとした」

若きヒットメーカーが「恐れる」こと

商品の魅力を引き出し伝える水島さんの能力。それを見抜き、元々いた営業部から商品開発部に引き抜いた上司は…

井上大輔部長:
「言葉にするとクリエイティブさというのが合っていると思うけど、“オチ”をつけようとするセンスがあるなと」

今では他社にも新商品の共同開発を提案し、企画を進めているという水島さんですが、挑戦を続けながらも大切にしている思いがあります。

水島さん:
「私が今一番恐れているところで、作り手目線みたいになって偏ってしまうのがこわい。『お客さんとしてどういうものを買うか』という目線を失いたくない」

(THE TIME,2025年5月2日放送より)