日本一“圧を感じる隧道(ずいどう)”

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「ここ吹屋から瀬戸内に行く中で、ぜひ見てほしい道がある」
江戸時代から大正時代頃まで使われていた「とと道」は、山越えが過酷だったため、それを解消するべく昭和初期に隧道を掘って造られた道が、現在の岡山県道300号。
この県道にある隧道が「他では見られないすごい姿をしている」と鹿取さんは言います。
集落から南下すること15分。県道300号にある巨大な岩を削った片洞門や、「羽山(はやま)第一隧道」を抜けると、その先に現れたのは、巨大な岩をくり抜いた「羽山第二隧道」。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「普通の隧道やトンネルでは考えられないような形をしている。上まで全て岩」

鹿取さんが「日本一、圧を感じる隧道」と言うこの「羽山第二隧道」は、「もともとあった鍾乳洞を生かして隧道にした」とのこと。「羽山第二隧道」は、大正3年に着工。鍾乳洞を削って道を通すという難工事がゆえ、何度も工事は中断。道が開通したのは、15年後の昭和4年でした。
命綱で上から吊るされた状態で石を掘った記録も残されているそうで、「鉱山で栄える吹屋の町と、瀬戸内の商業圏を結ぶために、どうしてもこの道が必要だった。だから、命懸けでも造らなければという思いがあった」と鹿取さん。隧道内の壁面には、人力で削ったと思われる跡が見られます。
「羽山第二隧道」の坑門近くには「穴小屋略図」と書かれた看板があり、隧道内を走る道の反対側に鍾乳洞(=穴小屋)が続いていることを表しています。

過去に2回、「羽山第二隧道」に来たことがある鹿取さんもまだ奥まで入ったことがないそうで、「鍾乳洞の中も歩きたい」と探索することに。
鍾乳洞の入口は天井が低く、しゃがんで歩くしかなかった道は次第に開けて、立って歩けるほどの天井高に。20分ほど奥へ進むと、行き止まりに到達します。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「道ある所まで来ないと、この景色は見られなかった。見られてよかった」
2024年9月24日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より