アメリカが譲歩? 米ウ“鉱物資源協定”で合意

一方、交渉を巡り、アメリカが譲歩の姿勢を見せたのが、ウクライナとの鉱物資源協定についてです。

ベッセント財務長官
「本日、アメリカ・ウクライナ復興投資基金を設置するという、歴史的な経済パートナーシップ協定に署名したと発表できることを嬉しく思う」

基金は両国が50%ずつ拠出し、ウクライナ国内にあるレアアースなどの鉱物資源の開発に投資するというもの。事業で得られた収益をウクライナの復興などに充てるとしています。

また、アメリカの拠出は金銭に限らず、新たな防空システムを提供する形などで行われることもあるとして、ウクライナ側はアメリカからの新たな軍事支援にも繋がるとしています。

一度は決裂していた鉱物資源を巡る交渉。トランプ氏は今年2月…

トランプ大統領
「私たちはウクライナから資金を回収するつもりだ。我々が求めるのはレアアースや石油、得られるものは何でもいい」

バイデン政権時代から続けてきた、これまでの軍事支援の見返りとして、鉱物資源の権益を求めていました。

しかし、今回の協定では過去の支援に対する返済を求めておらず、トランプ政権が譲歩したとみられています。ただ、ウクライナが求めている安全の保障については、今回の協定でも触れられていません。

専門家はアメリカの狙いについて…

筑波大学 東野篤子教授
「アメリカの長期的な利益、特に資源をめぐる利益を考えたときに、ウクライナとの鉱物資源合意を捨ててはいけないという判断がアメリカにあったと考えられる」

一方、ウクライナについては…

筑波大学 東野教授
「ウクライナに関して全てを投げ出すと言わんばかりの、これまでのトランプ政権の脅しが回避された可能性が高い。ただ、“どのような支援をどれくらいの額で”はおそらくアメリカのさじ加減によるところがまだ多い。トランプ大統領本人が(協定の)内容をどれだけ誠実に実施するのか未知数」

関税交渉の行方は?

小川彩佳キャスター:
就任100日を迎えたトランプ政権ですけれども、斎藤さんはどうご覧になっていますか。

東京大学 斎藤幸平准教授:
プーチンの戦争は終わらず、関税戦争も中国に負けつつあり、支持率も低迷し、GDPも3年ぶりに下がったとの情報がありました。その中で何とか成果が欲しいわけですけれども、そういうときにコメや自動車、基地負担とかで「日本くらいだったら言うこと聞かせられるんじゃないか」と思って圧力をかけてくるかもしれません。

安倍総理だったらヒョイヒョイ約束していたかもしれないですけれども、石破総理や赤沢大臣は、そうではないということを心から願っています。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・ 社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』