織田幹雄記念国際が4月29日、広島市の広島広域公園陸上競技場で開催され、5月18日に国立競技場で行われるゴールデングランプリ(以下GGP)出場選手たちに好記録が相次いだ。男子やり投では崎山雄太(29、愛媛競技力本部)が82m96と、世界陸上でも予選通過が期待できる記録で優勝した。女子三段跳では高島真織子(25、九電工)が13m96(追い風2.3mで参考記録)で優勝、ファウルでは14mを超えていた。決勝は脚の違和感で棄権したが、女子100mハードルの田中佑美(26、富士通)は予選で12秒91(追い風1.8m)と4月の自己最高をマークした。3人のGGPでの目標などを紹介する。

高島は14m30(=日本新)を目標にGGP出場

優勝記録は5回目の13m96だったが、最終6回目は14m以上の距離が出ていた可能性がある(日本記録は14m16)。踏切板を越えない、という制約内でパフォーマンスをするのが走幅跳と三段跳。ファウルは評価されるべきではない、という見方もあるが、高島への期待が高まったのは事実である。

髙島真織子

「昨年はこの大会でケガをして、パリ五輪も出られずしんどい思いもしましたが、新しいフォームにも挑戦してここまで来られたのは、すごく良かったというか、ちょっと安心できました」

1年前の織田記念のウォーミングアップ中に、右脚の大腿部裏を肉離れしてしまった。1か月前に追い風3.7mで参考で14m08を超えていた。「調子良いけど大丈夫かな、という状態でしたが、勢いでやってしまいましたね」。前年のブダペスト世界陸上に続いて代表を狙っていたが、パリ五輪選考会の日本選手権は出られる状態ではなかった。

試合復帰は9月になった。「ハムストリング(大腿裏)が使えない間に、上半身もしっかりトレーニングをしました。腕がしっかり使えるようにしましたし、上半身と下半身の連動というところも意識してやりました」。それが新しいフォームへの挑戦にも生きた。昨年10月の田島記念(13m49)から、跳躍中の腕の使い方を「シングルアームからシングルダブルアーム」に変更している。

以前は1歩目のホップも2歩目のステップも、片方の腕を前に出す腕の使い方だった。1歩目は左腕を回すようにして右腕は後ろに引き、2歩目は右腕を前に突き出し左腕は後ろに引く。3歩目は両腕を頭上に上げる形にして一緒に振り降ろす。変更後は1歩目の腕振りはほぼ同じだが、2歩目では両腕を揃えて下から上に振り上げる(ダブルアーム)。2歩目の変更に伴って3歩目の腕の動きも変わるが、最後に両腕を振り降ろすところは同じである。

「腕がしっかり使えないと、ダブルアームに持ってこられないので、(故障中に)筋力アップしたことで新しいフォームにつながりました」

男子選手に比べると2歩目の滞空時間が短い印象だが、ダブルアームがさらに上達すれば、2歩目の距離が大きく伸びるはずだ。

「世界陸上標準記録(14m55)に行きたい気持ちもありますが、(行く手を遮る)もうひと山がある感じです。GGPでは自分のベストを尽くして、14m30を跳びたいです。強い選手と試合をすると飲まれてしまって肩が上がるクセがあります。落ち着いて、飲まれないようにして、自分の跳躍ができたらな、と思います」

結果的に日本記録更新の可能性があるが、高島は世界とどう戦うかを重点的に意識してGGPに臨む。