薩摩焼の里・日置市東市来町美山地区では、伝統工芸や現代アートを楽しめるイベントが開かれています。
美山地区で行われているアートフェスティバル「美山ビエンナーレ・0始まりの景色」。7つの会場に、鹿児島県内外の作家17人の作品が一堂に会します。
薩摩焼の窯元が集まる日置市の美山地区ですが、職人の高齢化や後継者不足などから、窯元はピーク時の半分以下に減少。「アートを通じて地域の文化を発信し、にぎわいを生み出したい」と初めて開催されました。

こちらは、5年前に職人が亡くなって以来、手つかずとなっていた窯元に施した作品「美山の狼煙」。煙突から上る煙や窯の火をポップに表現し、眠っていた窯元が目を覚ます様子を表現しています。
美山の自然も、現代アートに変身です。杉林の間を縫い進むように編まれた「運針」。見る時間帯や天候によって変える表情が魅力です。
(訪れた人)「いつもと雰囲気が全然違っていて楽しい」
「元々あるものをいかしているのが、すごく良い」
作品の展示は、老舗窯元でも。薩摩焼の名工・沈壽官窯です。ギャラリーの天井には、薩摩焼にも使われる透かし彫りの技法から着想を得た蜘蛛の巣状のアートが飾られています。

手がけたのは県内の現代アート作家です。およそ420年の歴史がある沈壽官窯で、ほかの作家の作品を飾るのは初めてです。
(十五代・沈壽官さん)「スパイダーマンが来たのかと(笑)歴史は古いが、僕たちは今に生きている人間なので、いろいろなところから学ぶことはあるし、新しい可能性を見つけていただいた」
(記者)「こちらは空間全体がアート作品になっているエリアです。アート作品というと見て楽しむイメージですが、ここでは実際に入り込んで、お茶やお菓子を味わって、五感全体で楽しめます」

美山で採れた柑橘のお茶や薩摩焼にのせたお菓子を味わいながら、参加者とのコミュニケーションが楽しめる、新しい形の現代アートです。
(お茶を楽しむ親子)「おいしい?」「うん、甘みがある」
「黄色がたくさんあって、皆ニコニコしていて自分も明るくなれる」
「美山らしいお茶会にしてくれてうれしい」
(美山ビエンナーレ実行委員会 筒井敏郎代表)「古いものを大事にしながら、新しい価値を創造していくことを大切にした。美山の魅力を存分に楽しんでもらいたい」
イベントは、日置市東市来町美山地区でゴールデンウィーク最終日の5月6日まで開かれています。