高級寿司ネタとして人気の「ウニ」。実はそのウニがいま、海の環境を荒らす“厄介者”として駆除される事態が起こっています。なぜウニが疎まれているのかー?長崎市では、ある”廃棄野菜”を使って問題の解決を目指す取り組みが始まっています。

進む”磯焼け”

長崎市中心部から南西へと延びる長崎半島は、角力灘・天草灘・橘湾に囲まれた漁業の盛んなエリアです。しかしこの近海では、近年「磯焼け」と呼ばれる現象が深刻化。気候変動の影響で海藻が減少し、魚介類の生育に悪影響を及ぼしています。

磯焼けの一因にもなっているのが「ウニ」です。ただでさえ少なくなった海藻類を食べつくしてしまうのです。その上、海藻が少ない海で育ったウニは食用に向かないことから、「厄介者」として駆除の対象になっていました。

廃棄ウニ × 廃棄野菜の“再生”実験

長崎半島の野母崎地区を中心に海の保全活動に取り組む団体「team長崎シー・クリーン」(代表:デミ―博士)では、去年11月から地元漁協やJAと協力し、“廃棄されるウニ”を“廃棄される野菜”で養殖するプロジェクトを開始しました。

市場に出荷できないキズものや規格外の野菜をエサとして与え、実入りのいいウニを目指す取り組みです。なかでもウニの味が大きく向上したとされた野菜は、「ブロッコリー」でした。