早期決着か長期戦か?問われる交渉手腕

90日間の追加関税猶予期間が設定されているが、これをどう活用するかが焦点となっている。早期決着を目指すべきか、それとも長期戦に持ち込むべきか。それぞれにメリットとデメリットがある。

早期決着のメリットとしては、夏の参院選を控える石破政権にとってプラスの材料となる可能性がある。しかし、急ぎすぎて不利な条件を飲まされては本末転倒だ。一方、長期戦に持ち込めば、アメリカ側の態度が軟化する可能性もある。実際、これまで強硬な姿勢を崩さなかった中国との貿易交渉では、トランプ大統領が突如関税引き下げの可能性を示唆するなど、態度を軟化させている。

しかし、長期化のデメリットも無視できない。特に日本企業への影響は深刻だ。自動車メーカーなどは既に切迫した状況にあり、「1ヶ月後には関税がもろにかかった商品の値付けをしなければならない」と経済部記者は指摘する。また、先行きの不透明感から設備投資や人材投資が滞る可能性もある。

このような状況下で、日本政府はどのような交渉戦略を取るべきなのか。石破総理や赤沢大臣が交渉についてたびたび口にするのは「急いては事を仕損じる」。早期決着を目指しつつも、国益を損なわないよう慎重な姿勢を崩さない。そして、アメリカ側の出方を見極めながら、柔軟に対応していく高度な交渉が求められる。

来週、赤沢大臣はどのようなカードを切るのか。そして、その結果はどのような影響をもたらすのか。日米関税交渉の行方は、日本経済の将来を左右する重要な局面を迎えている。

TBSテレビ政治部・堀宏太朗、経済部・竹岡建介