■「『TSUNAMI』がなければ我々はここにいなかった」

 およそ半世紀にわたり第一線で活躍する桑田とサザンオールスターズ。最新アルバムのタイトル『THANK YOUSO MUCH』はシンプルだが、桑田の思いが詰まっている。

 13日放送回では「振り返ると、ファンの方もそうなんですけど、マネージャーだった人とかディレクターだった人とかいろんな関係者がいっぱいいて、『この人とこの人がいたからサザンここまで来れたよね』っていう気持ちになりまして。心より感謝申し上げますって英語でなんて言うだろうと思ってスマホ見たら『THANK YOUSO MUCH』って出てきたんで、あらら意外と簡単じゃん、と思って」と、タイトルに込めた思いも打ち明けた。

 そんな桑田の脳裏にもかつて、“引き際”という言葉がよぎった時期があるという。90年代後半を「J-POP自体も出せばCDが売れる時代だったんですけど、逆に我々は売り上げが落ちていて」と振り返った桑田。ミリオンヒットを飛ばす楽曲が次々と現れる中、1999年にリリースした楽曲「イエローマン ~星の王子様~」はふるわず、「しょうがないな、いよいよ我々も潮時じゃないけど、そんな風にも思ったんです」という。

 だが、翌2000年、起死回生の一曲が誕生した。恋愛リアリティ企画「未来日記」のテーマソングとしてリリースされた「TSUNAMI」だ。「『TSUNAMI』がなければおそらく我々は今ここにはいなかった」と桑田。「もう下り坂だって当然のように思っていたんですけどタイアップをいただいて。ネガティブに落ち込んだところから引っ張り上げてもらったというか」、「ピンチだと思った時が、いい場合がある。このピンチに負けないぞと密かに想う。それがまた、音楽のいいところだと思います」と、バンド最大のヒット曲の誕生秘話をしみじみ振り返った。

 『TSUNAMI』は日本のロックバンド史上最多の293万枚を売り上げ、その記録は今も破られていないという。