いちき串木野市沖で構想が浮上している洋上風力発電について、鹿児島県は25日、候補となる海域として国に情報を提供しました。事業化に向け、県内で初めて手続きが進むことになります。
国は再生可能エネルギーの普及に向け海上に風車を設置する洋上風力発電の整備を進めていて、国内の港湾区域では秋田県沖と北海道沖で商業運転しています。
事業化する場合、沿岸の市町村や漁業関係者の意向などを都道府県が取りまとめ、国への「情報提供」が必要です。
これまでに県内では一部の関係者から「漁業にマイナスの影響が出るのではないか」と懸念の声があがっていて、県は国への情報提供を見送っていました。
しかし、県は25日、いちき串木野市沖のおよそ5キロまでの海域について、「国に情報提供した」と明らかにしました。
県によりますと、この1年間で関係者に丁寧な説明を続けたほか、今後、国や自治体などでつくる法定協議会が設置された場合、「国や有識者からより専門的な知見が得られる」と判断したということです。
情報提供を受け、国がいちき串木野市沖を「有望海域」と判断した場合、法定協議会が設置されます。
一方、計画に反対する周辺住民らでつくる市民グループは取材に対し、「地域住民への説明が不十分なうえ、回遊魚への影響などに対する県の考え方は分からないまま。事業化に向けて動きだしたことに抗議したい」としています。